1981年、マイアミ。別れた妻子の養育費を稼ぐのに必死の落ち目の作家デヴィッドは、この地で隠遁生活を送る伝説的ギャングのランスキーに、ぜひ彼の伝記を書かせてほしいと申し込む。医者から余命宣告を受けていたランスキーは、自分の死後までこのことは絶対口外しないよう命じた上で、デヴィッドのインタビューに応じることに。ランスキーが語った波瀾万丈の話は、20世紀のアメリカの知られざる裏面史そのものだった。
デヴィッドがランスキーの話を聞きながら、過去が提示されていくストーリー展開で、過去のランスキーがのし上がっていくところは面白かったんだけど、正直現代パートはかなり退屈である。ランスキーもデヴィッドも仕事に集中しすぎて家庭をないがしろにする悪い男らしさを内面化し周りの人(とりわけ妻)を傷つけている人間である。それに関してのしりぬぐい的なシーンもあるにはあるが、あまりそこは映画の中で重要視されていない。(このへんはスコセッシのギャング映画は立派だ)
結果的にランスキーはアウトローとしてのヒーローみたいで晩年はイスラエルで過ごしながらビジネスで成功したくさんの雇用を生み出したみたいなオチで、このへんはアメリカ映画の悪い部分が出ていた。後味が良い映画ではないが、映画の中でナチスがアメリカで台頭するシーンでポーランドからやってきたギャングが全力でつぶしにかかっていて、なるほどと思った。