『カモン カモン』(C'mon C'mon)
「20センチュリー・ウーマン」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマンドラマ。ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。「ジョーカー」での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。ジェシー役は新星ウッディ・ノーマン。(映画com.より)
まず私はマイク・ミルズ監督作品が大好きだ。特に前作の『20センチュリー・ウーマン』が人生のマイベストに入るくらい好きだったし、私が他の人がどんな感想を抱いているのか知りたくてTwitterをやるきっかけにもなったくらいだ。そして初めて映画関連のグッツを買った。そして本作のムビチケも買って、初めて前売り券を買った。それくらいマイク・ミルズ監督が好きだ。ハードルが上がりすぎてどうしよう、この4年間の生きがいがなくなってどうしようとさえ思った。そして観に行った。まず一言でいうと、大好きな作品だった。編集、演出、演技etc、やっぱりこの監督の作品は好きだ。でもそれ以上に好きというか、同じ価値観を共有しているなと感じた。映画を観て、私がいつも年間ベストに選ぶ作品の共通点はただ一つ、監督と自分の価値観だったり、社会や世界への眼差しだったり、政治観念が同じだったりするところである。
私は常々自分の人生で子どもは持たないだろうと思っているけど、子ども達の未来のために今の社会を変えないといけない、大人は子ども達の未来に責任を持たないといけないよねと思っているんだけど、マイク・ミルズ監督もきっと同じ思いだよね。
これはマイク・ミルズ監督版『東京物語』じゃないかな。映画全編モノクロだし、下記の数年前のインタビューで小津安二郎監督について言及してたし。
演出と編集が『20センチュリー・ウーマン』に似ていた。映画の途中にデトロイト、ニューヨーク、ニューオリンズの子供たちのインタビューが差し込まれるんだけど、その子供たちがみんな本当に良いこと言ってくれていて...そしてそれを聞くジョニー(ホアキン)の態度も良くてさ感動した。
子ども達のインタビューの前に「いまからいくつか質問をするけど嫌な質問があったら答えなくていい」と何度も言及されてたし、ジョニーがジェシーに中絶について「女性には自分の体について自ら選択する権利がある」としっかり説明したり、監督が何を大切にしているのか伝わってきた。
本で説明するという演出が凄く良かった。(申し訳ないがタイトルと著作者が思い出せない。)
とにかく素晴らしい映画であった。ありがとうマイク・ミルズ監督。