@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』

 

『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』(Strange World)

若いころに行方不明となった偉大な冒険家の父へのコンプレックスから冒険を嫌うようになったサーチャー・クレイドは、豊かな国アヴァロニアで、愛する息子のイーサンと妻とともに農夫として静かに暮らしていた。しかしある時、アヴァロニアのエネルギー源である植物が絶滅の危機を迎え、世界は崩壊へと向かってしまう。この危機を救うため、サーチャーたちは地底に広がる、“もうひとつの世界(ストレンジ・ワールド)”へと足を踏み入れるが……。

 

 まず始めにアニメーションが細かく綺麗で凄い。特にその凄さが分かるのがイソギンチャクみたいな草木の動きで、風にユラユラしてる感じがよく表現できている。地下を冒険するのは同じくディズニーの過去作『アトランティス 失われた帝国』に似ているし、シーンの場面変化の演出は『スターウォーズ』(同じくSW)から影響を受けているのかな。かなり観ていて興奮した。

 

 異人種間カップルや同級生の男の子に恋する息子(ゲイという明確な言葉は出てこないし、キスシーンもなし、男女夫婦のキスシーンはあり)や片足の犬(レジェンドの可愛さたるや)や車いす利用者が日常に出てくる。但し相変わらず社会性がありすぎる登場人物はどうしたものか...

 

 ディズニーが大好きな父と子のストーリーがメインで世代の違う父と息子(祖父、父、孫息子)の確執と和解がテーマである。冷たい祖父イェーガー(冒険家)、その逆を目指す父サーチャー(農夫)が対比され強調される。念のため母メリディアン(パイロットとしてえらく優秀で本人をそれを活かしたいと思っているがみたいな描写は一応あるが)と息子イーサンとの関係にも一応焦点があたる(夢とか将来とか好きな男の子について話す)。男3世代のあーだこーだを見せられるので、正直苦手な題材なのだが、映画はかなり面白い。つまりそれ以外やそのあーだこーだの見せ方が非常に上手でよくできている映画ということだ。

 

 孫イーサンが劇中で何度も"調和"ということを言っているように、まさに父と子どもの調和と環境と人々の暮らしの調和についての映画だ。もともと気候変動とジェンダーはよく絡めて語られることがあるので、非常に社会問題をリアルに捉えている映画だし、この映画のテーマはそのまま地球に住む我々と同じだ。(映画のラストにはアヴァロニアは地球の一部だと示すシーンあり)

 

 イェーガーとサーチャーはアヴァロニアの環境を守るためにアヴァロニアのユートピア的な側面を諦めるのだが、これは親が子供世代のためにしてあげられる気候変動対策の一環だし、これは気候変動に対するディズニーのアンサーのようにも感じた。だからこそ気候変動とジェンダーと絡めて議論されるのでカリストは白人男性の方が説得力あったかな。それにアヴァロニアを守るための行動が結果的に家族愛に吸収されてしまうあたりはディズニーの限界かな。

 

 それでもかなり面白かったし、アメリカでつい最近公開されたらしいが、評価も低くて興行収入も低いらしい。面白いのに信じられない...