@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『椿の庭』WOWOW

『椿の庭』

葉山の海を望む一軒家。夫を亡くして間もない絹子は、娘の忘れ形見である孫の渚とともに、四季折々の花を咲かす美しい庭を手入れしながら暮らしていた。絹子の夫の四十九日の法要の日、東京から参列していた彼女のもうひとりの娘・陶子は、年老いた母の身を案じ、東京のマンションで同居しないかと誘う。だが、絹子は夫や子どもと過ごしたこの家を離れるつもりはなかった。そんなある日、相続税の問題で税理士が訪ねてきて……。

 

 途中まで絹子は家に住み着いた幽霊(『キャスパー』だったらどんなに良いか...)じゃないかと思うくらい、家の中のシーンしか出てこないし、映画も家の中のシーンしかない。この時点で地雷であるが、それでも内容がオルタナティブだったり何らかの価値観へ疑問を投げかける映画ならまだしも、笑うどころか呆れるほど"家長主人を亡くした空の家を支える誰からも好感が持てる高齢女性"(ずっと笑顔でずっと着物を着ている...)とそれを甲斐甲斐しく支える孫娘と過ごす数日間を描いており、さすがにこれは...。保守的というよりただの特権である。というかあんなデカい家を守れるのはもはや保守でも何でもなく特権です。

 

 そりゃあんな大きくて立派な家と庭があれば、誰だって手放すのは惜しいし、映画としては主人を亡くして家の相続を続けたいがそれが難しい高齢女性の自己決定権を取り扱っているのだが、その割には社会から隔絶されているし、もはや地に足付いていないユートピアみたいで現実味がなさすぎる。「こういう女性もいるんですよ」と映画は言いたげだが、こんな地に足付いていない映画は久しぶりに観た。まだ是枝監督の方が幼稚だけど、人間はしっかり描けているぞ。しかも最後絹子が自然死するし(嘘だろ)...さすがに呆れた...

 

 ただでさえ地に足付いていない映画なのに、ところどころ写真みたいなシーンが続いて絹子の庭をまるでオアシスみたいに撮って「気候変動やら異常気象なんて知るか」と言わんばかりに、それがもうありえないほど綺麗すぎて逆に現実味が喪失している...映画は写真じゃないんだよ...