『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』(Radioactive)
19世紀のパリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、女性というだけでろくな研究の機会を得られずにいた。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たし、結婚してキュリー夫人となった彼女は、夫の支援で研究に没頭する。やがてラジウムとポロニウムという新しい元素を発見し、夫婦でノーベル賞を受賞する。しかしピエールは不慮の事故で他界し、発見したラジウムは核兵器として利用されるようになってしまう。
監督は女性監督のマルジャン・サトラピで、マリーを演じるのはロザムンド・パイク。
夫婦共同の研究でも、周りは男性のみを評価し、男性ありきの研究者として見てしまう社会や周囲への批判がこの映画の根底にある。"夫人"という概念からできるだけ離れたところで映画を作ろうとしているので、たぶんこの邦題は良くない。
マリーが極端に病院嫌いだったり、夫の喪失から交霊会に傾倒しかけたり、結構第1次世界大戦の銃後の話だったりするのが面白い。
ラジウムのネオンの感じを視覚効果に落とし込むことで、伝記映画だけど退屈せず見ることができた。また放射能の功罪をタイムラインに逆らってマリーに追体験させることで科学の功罪をしっかり描くことにも成功しているが、逆にその演出が少し過剰な気もする。(例えば広島の原爆のシーンなんて、いかにも欧米人が考えた描写だし)