『ブレイキング・ニュース・イン・ユバ・カウンティ』(Breaking News In Yuba County)
夫が売春婦と寝ていた時に心臓発作で死んだことを知ったスーは、この出来事をセレブリティになるチャンスと捉え、死体を埋めて夫が行方不明になったと見せかけて同情を集める。注目され、にわかにセレブ気分を味わうスーだったが、やがて事態は町全体を巻き込んだ大騒動に発展してしまう。
ハリウッドの業界内で映画化されていない優秀な脚本のリストとして出回る「ブラックリスト」にも選出された、アマンダ・イドコによるオリジナル脚本を、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラー監督がメガホンをとって映画化。ミラ・クニス、オークワフィナ、レジーナ・ホールら豪華女優陣が共演。
夫からも周囲の人間からも無視され透明人間のような日々を送るスーが、夫カールの不倫を目撃し(妻に不倫相手とセックスする場面を見られその衝撃で突然病死)、夫の死体を偽造し失踪に見せかけて有名になるみたいな話で、嘘が嘘を呼び最後にとんでもないことが起こる話でありふれている話だ。類似だと『ゴーン・ガール』みたいだけど、コメディに寄っているし、人の死を偽装し続けるので『ラフ・ナイト...』に似てる。
呪いのように繰り返される「私のストーリーは重要」(=有名になりたい)は、アメリカのメディアが発達しすぎた影の側面を象徴しているようだ。みんなスーの話を無視し続けたのに、初めてスーの話を聞いたのが低俗そうなメディアだというのは皮肉な話だ。
映画を通して女性たちが大変活躍するし(今までもたくさんの女性が主人公の映画を作り続けたテイト・テイラー監督ならではだ)、コメディが好きな私は満足だったが、コメディタッチなのに後半に畳みかけるようにゴア描写があるので、その辺とのバランスが映画の良さを消してしまった気がする。死ぬのは正直不倫していたカールだけで良い。(このコメディの中に突然のゴア描写はポール・フェイグ監督の方がずっと上手だ)