@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『母へ捧げる僕たちのアリア』

 

『母へ捧げる僕たちのアリア』

 

南仏の海辺の町を舞台に、3人の兄たちと一緒に母を介護する少年の芸術への目覚めを、オペラの名曲の数々と共につづったヒューマンドラマ。古ぼけた公営団地で家族と暮らす14歳の少年ヌール。昏睡状態の母を3人の兄たちとともに自宅介護しながら、家計を助けるためバイトに明け暮れる日々を送っていた。そんなヌールの日課は、夕方に母の部屋の前にスピーカーを持っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげること。ある日、教育矯正の一環として校内を掃除していたヌールは、そこで歌のレッスンをしていた講師サラと出会い、歌うことに夢中になっていく。

 

 フランスが舞台でおそらく2000年代前半が時代設定だと思う。4人兄弟で母の介護をしている。監督の実体験が脚本に反映されているらしく、兄弟の関係がえらくリアルだ。特に2番目のお兄さんのあの優しい感じはあるあるだ。

 

 たまたまオペラ教室の先生に才能を見出され、家族も驚くが色々あり進学校へ進むみたいな展開を期待していたが、本作はそういう王道路線を行っていない。まずヌールが歌っていることにいい意味でもある言意味でも興味が無い感じだ。この辺はすごくフランス映画っぽい。本作がもしアメリカ映画だったら『コーダ』『シングストリート』『リトル・ダンサー』みたいな末っ子の才能開花し家族から離れる的な感じになると思う。

 

 まあそもそもオペラを究めるにはどれだけお金がかかるのだろうか。サラ先生もお金の話は決してしないし。サラ先生もあくまでヌールがオペラへの興味を持続させることに終始しており、才能を開花させるよりかは才能を開花させる一歩手前を描いた作品だ。そうだと思えば納得の出来である。だから映画のラストもサラ先生はヌールをオペラに招待したのだろう。