@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『共謀家族』

ブレイキング・バッド

 

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犯罪映画のトリックを知り尽くした男が、家族を守るため完全犯罪に挑む姿を描いたサスペンス。2013年にマラヤーラム語で制作されたインド映画「Drishyam」をその2年後にヒンディー語でリメイクした「ビジョン」を、中国映画としてリメイクした。幼少時に中国からタイに移住したリー・ウェイジエは、現在はインターネット回線会社を経営しながら、妻や高校生の長女、まだ幼い次女と幸せに暮らしている。信心深く穏やかな人柄の彼は、地域の誰からも好かれていた。ある日、サマーキャンプに出かけた長女ピンピンが、不良高校生のスーチャットに睡眠薬を飲まされて暴行され、その様子を撮影されてしまう。動画をネットに上げると脅されたピンピンは、そのスーチャットと揉み合いになり彼を殺害してしまうが、スーチャットは警察局長の息子だった。映画マニアであるリーは、それまで見てきた映画のトリックを応用して完全なアリバイ作りに着手する。

 

 本作を観終わってネットで調べるまで本作がリメイクだとは全く知らなかった。リメイクの本作では舞台をタイと中国の国境付近に移すことで異なる宗教と言語が混ざり合うインド映画っぽさをカバーできている。

 

 本作は主人公が劇中でモンタージュについて話をする通り、疾走感溢れる編集と音楽とセリフと犯罪を隠匿してしまった家族の苦悩を表現する役者たちの努力のおかげでかなりハラハラする場面展開で観ていて全く飽きないし、むしろ凄い。この映画の感じは同じタイが舞台の『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』にオマージュをささげているのかと思ったら、劇中でリー家族が旅行先の映画館で『バッド...』を観ているシーンがあったので、おそらく意識してオマージュしているのだと思う。またリーがあらゆる国の映画が好きという設定でおなじく映画好きの人々が観たらたまらないようなシーンやセリフがたくさんある。だからこそリー家族に警察に捕まらないで欲しいと観客は感情移入しやすい。

 

 この映画のポイントはいくばかあるが私が一番注目したのは、タイの市井の人々の反乱である。これは中国の資本で作っている映画で舞台はタイであるが、明らかに中国政府や公権力に向けてこの映画を作っているんだろうと思う。しかし中国が舞台だとできないからタイという舞台設定にしているのだと思うが、次はぜひ中国の市井の人が警察や政治家などの公権力を倒す映画を是非作ってほしいと願う

 

 本作の悪い点は二つある。まず家族が犯罪を隠匿するきっかけが娘のスーチャットがサマーキャンプで薬を盛られてレイプされた動画を晒されるからということで、終始娘のスーチャットの主体性が回復することはなく最後の最後までずっと主体性をはぎとられている。また最後に犯罪の片棒を1人ですべて背負うリーの事の発端が娘のスーチャットが成長するにつれて距離感ができてしまいコミュニケーションが取れなくなってしまったことによる不安から引き起こした描写になってしまっている。この設定自体好きではないが、もしそういう設定にしたいのであればもう少しリーとスーチャットの会話のシーンや人物描写をもう少し掘り下げてもいいのではないかと思う。