@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ベルファスト』

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ベルファスト』(Belfast)

 

ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディは、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、プロテスタント武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中で、バディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られる。

 

 まず映画として非常によく撮れている。子どものバティの視点から見る大人の世界がリアルだし、争いごとへのまなざしは非常に辛辣だった。また同じ言葉を喋っていて、宗教が違うだけでお隣が敵になったりする分断が非常に今日的で本作が作られた意味も大衆に受け止められたのも理解できる。

 

 しかし私はこの映画が全く好きじゃない。『ROMA ローマ』や『ミナリ』でもそうであったが、これは監督の子ども時代の体験をそのまま映画化しており、非常に人間関係が美化されている。特に主人公が男の子の場合はよくあることだけど、母親が社会や政治から切り離されていてかなり孤立している。居場所が家庭にしかなくてそれ以外の選択肢が用意されていない。実際そうだったから監督が大人になれて作家になれた事実はしょうがないとしても、その体験をそのまま映画化してはダメだよ。本作の中でも女性たちは家の中にいてバディが家の外からそれを眺めているシーンが多くて、嘘だろと思う。本作の母がベルファストに執着するのは、仕事もなくて家に子どもが二人もいるからだよ。お金もなくておまけに借金もあるし。そりゃベルファストに執着するしかないけど、子どものことを考えればアイデンティティであるベルファストを離れてイングランドに行くしかないんだよ。その苦難をブラナー監督は映画のラストのあのメッセージで片づけてしまうんだよ...ベルファストを去ったものと残ったものに捧げるとかさ...その一言は余計だよ。