@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『高速道路家族』

 

『高速道路家族』(Highway Family) [2022年韓国]


 高速道路のサービスエリアを転々としながらテントを張って暮らし、2度と会うことのない他人から2万ウォンを借りて食いつないでいるギウと3人の家族。ある日、ギウは以前お金を借りたことのあるヨンソンと、別のサービスエリアで偶然にも再会してしまう。不審に感じたヨンソンはギウを警察に突き出すが、残されたギウの妻ジスクと子どもたちを放っておけず、家へ連れ帰って一緒に暮らし始める。ヨンソンのもとで何不自由なく生活する家族を取り戻そうとするギウだったが……。

 監督&脚本はイ・サンムン。出演はチョン・イル(ギウ)、キム・スルギ(ジスク)、ラ・ミラン(ヨンソン)ほか。

 スリラー作品と書いてあるが、どちらかというと人情ドラマである。もちろん韓国映画なので盛り上げるための演出がすごくてさすがである。(それでも他の韓国映画と比べると地味な方だと思う)

 

 この映画は人の非情さと信用をテーマにしているが、この映画で本物なのはギウとジスクを気の毒に思い助けてあげたいと思ったヨンソンの行動だ。もちろんその行動のせいでとんでもない展開に巻き込まれるのだが(そこが映画って感じだが)、それでも最後は人の正しさと保護されるべき子供を保護すべきをしっかり描き、筋を通したこの映画の視点は優しい。

 

 ギウは正直本当に稚拙な父親であり夫だ。(この稚拙ぶりが鑑賞し続けるのを難しくさせる...) ギウとジスクと子どもたちは数年以上あの路上生活を続けているのだが、その理由が仕事をしてないとかではなく犯罪歴があるからと明かされるので、家族を一方的に巻き込んでいるのだと分かる。非常にギウの自分勝手さを理解できるシーンだが、私を始め観客の怒りがギウに行き、気持ちがそこに対して強くなるので、映画のテーマがブレてしまっているかもしれない。

 

 ギウは人に裏切られ、そして自身も人を裏切ってきた過去がある。現に家族も裏切っている。そんなギウの唯一の信頼できるのが家族だったのだが、そんな家族から拒絶されるのはほとんど死に等しいのだろう。ラストの山の中にある教会で呆然としているギウの姿は、本当に救われるべき人間は誰なのかを考えさせる。それでもギウにとってはあの教会はただの風景になってしまっているのだろう。(あと宗教に詳しい方が観たら、ラストの炎と雨のシーンで何か考察できるのかもしれない)