『アンネ・フランクと旅する日記』(Where Is Anne Frank)
激しい嵐の夜、博物館に保管されているオリジナル版「アンネの日記」の文字がクルクルと動き出し、キティーが姿を現す。時空を飛び越えたことに気づかないキティーだったが、日記を開くと過去へとさかのぼり、親友アンネと再会を果たす。しかし日記から手を離すと、そこには現代の風景が広がっていた。キティーは目の前から消えてしまったアンネを探し、アムステルダムの街を駆け巡る。
まず映画の絵タッチがすごく好みだった。まず本作はアンネを映画の本筋にするのではなく、現代の難民やそれを取り巻く政府の政策についての批判から、アンネに対してアプローチしている。現代のアムステルダム(というか欧州)はアンネをたたえるくせに難民に対しての態度や政策とか全くアンネの精神を反映しておらず、ただアンネという人をたたえるだけではダメだ。本作はそれを見事にアンネのイマジナリーフレンドのキティーが体現している。アンネのイマジナリーフレンドが現代に登場し、アンネの精神を貫くということでイマジナリーフレンドとしても主体性を回復しているのも新しい感じがした。
映画の内容は大変よく、Karen Oが音楽と歌を共同で担当しているんだけど、それも凄く良い。しかもくしくも今現代ロシアがウクライナを侵略しウクライナで大変多くの難民がでている、今こそこの映画の精神を体現するときだと思うので、多くの人に観て欲しいと思う。