怒涛のアクション展開につい口元が緩んでしまう(笑)
『マリグナント 狂暴な悪夢』(Malignant)
ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人が繰り広げられるのを目撃するという悪夢に苛まれるようになったマディソン。彼女の夢の中で、謎めいた漆黒の殺人鬼が、予測不能な素早い動きと超人的な能力で次々と人を殺めていく。やがてマディソンが夢で見た殺人が、現実世界でも起こるようになる。殺人が起きるたび、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現場を疑似体験し、少しずつ自らの秘められた過去に導かれていく。そして邪悪な魔の手がマディソン自身に伸びてきたとき、悪夢の正体が明らかになる。
『アクアマン』や『ワイルドスピード』シリーズを大成功におさめたジェームズ・ワンが、またまた珍作を世に放ってくれた。というかもはや巨匠と言われていてもいいくらいの位置にいるジェームズ・ワンなのに、こういうへんてこりんな作品を本気で作っていく姿勢は大変評価したい。
まず本作のホラー様子は基本的に科学的に証拠がつくというか、納得がいく感じである。双子として生まれる赤ちゃんが突然変異で片割れに寄生種として現れるというのが本作のオチだが、結構リアルだと思う。というのも本邦でも手塚治の『ブラックジャック』に登場するピノコが本作のガブリエルに値する人物で、我々日本人にもなじみある設定である。
まあ自分を捨てた母親に復讐しようとするガブリエルが全ての元凶というのは大変よろしくない設定のような気がするが、それでも本作にあるシスターフッド描写は評価できる。とういうのマディソンの妹であるシドニーが大変魅力ある人物だからだ。彼女がこの映画を魅力的にしている。
またこの映画で一番の見どころはマディソンに寄生しガブリエルが警察署で暴れるシーンだろう。もうあれは『アクアマン』で培ったアクションすべて見せてやるという気概を感じだ。その怒涛のアクション展開に笑ってしまったのはここだけの話です(笑)