もうマイケルのことは放っておいて...
『ハロウィン KILLS』(Halloween Kills)
ローリー・ストロードとブギーマンことマイケル・マイヤーズの40年におよぶ因縁の戦いは、決着がついたはずだった。しかし、まだ悪夢は終わっていなかった。ローリーが仕掛けたバーニングトラップから生還したマイケルは、過去を背負う町ハドンフィールドでさらなる凶行を重ねる。その恐怖に立ち向かいブギーマンと戦う者がいる一方、恐ろしさのあまり暴徒と化す者も現れ、ハドンフィールドは混沌としていく。
もう前作のラストからすぐ始まるストーリー展開で本作は前作を観ている前提で話が進んでいく。本作はマイケルの狂気性もさることながら、マイケルの恐怖の中に暮らし続けた町の人々の狂気にも焦点が当てられている。そのためマイケルと共に脱獄してきたもう一人の男が病院で町の人々に勝手に犯人扱いされて挙句の果てに自殺してしまうというシーンがある。
普通の人々が恐怖に駆られて殺人を間接的に犯してしまう愚かさである。というのもアメリカという国は建国当時から恐怖心でできた国であるので(そのため市民の銃所持を認めている)、そういうことを思い起こさせる演出だった。しかしメッセージは分かるが、映画として観た時このシーンは正直蛇足だったと思う。というのも最終的に町の人々はマイケルに惨殺されるし、町の人々も結局間接的に人を殺したことに反省するシーンは差し込まれず描写が薄いからだ。あまけに脚本の中でいかにマイケルが純粋な悪から人々を惨殺しているかを主人公のローリーの口から説明させるシーンが何回も出てくるので。マイケルの残虐性を説明したいのであれば、もう少し濃く説明させた方がいい気がした。
映画の内容以外だと、マイケルが殺していく町の人々の中でとりわけ目立つカップルが黒人同士の医者(女性)と看護師(男性)カップルと男性ゲイカップルだったと思う。正直もう少し生きてほしかったけど、まあ最後は結局町の人々はマイケルに無残にも殺されるのだから、むしろセリフとか生活感とかが良く分かる設定を与えられていて、むしろこれは褒めるべきカップル設定だったのかもしれない。