やりたいことは分かるけど、あまり見せ方が良くない気がする
『最後の決闘裁判』(The Last Duel)
1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪になる。そして、もし夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになる。人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる。
本作はカルージュ、ル・グリ、マルグリッドの3人の視点で語られるストーリー展開となっており、最後のマルグリッドの視点のみ赤字で真実と強調される。つまりこれはマルグリッドの話だ。(当たり前だが) 全体的に凄くよく出来た映画で、かつメッセージも良い。
しかし悪い点を話すと、まずカルージュとル・グリの話展開はほぼ同じであるため、若干退屈である。それでも観れないことはない。次にレイプのシーンが2回も差し込まれるので、観ていてフラッシュバックする人が出てくると思うし、正直2回もみせる必要があるのかと思う。というのもこの映画はマルグリッドの視点に立っているのだがら、何度もレイプのシーンを差し込まなくてよいはず。またル・グリのシーンで所謂王宮にいる女性たちと乱交するシーンがあるのだが、このシーンを差し込むことで、この映画は守られるべき女性とどうでもいい女性を決めつけて断罪していると思う。結果的にこの映画の製作人(男たち)は「自分の人生に関係ある女性たち」にしか興味ないんだろうなと思う。脚本を担当したベン・アフレックとマット・デイモンは#MeTooムーブメントのさい、自分たちのイノセンス度を高めるために「私の妻、娘たち」という言葉を使い批判された過去がある。本作は二人の贖罪みたいな立ち位置にある映画であるが、正直贖罪になってないというか、結局この二人は自分の人生に関係ある女性たちにしか興味ないんだろうな思う。全然女性たちに寄り添った作品じゃないと思う。