『キャンディマン』(Candyman)
シカゴの公営住宅「カブリーニ=グリーン」地区には、「鏡に向かって5回その名を唱えると、右手が鋭利なかぎ爪になった殺人鬼に体を切り裂かれる」という都市伝説があった。老朽化した公営住宅が取り壊されてから10年後、恋人とともに町の高級コンドミニアムに引っ越してきたビジュアルアーティストのアンソニーは、創作活動の一環としてキャンディマンの謎を探っていた。やがて公営住宅の元住人だという老人と出会ったアンソニーは、都市伝説の裏に隠された悲惨な物語を聞かされる。
リメイク元は観たことがないが、ニア・ダコスタ監督(女性監督)が黒人の視点に立った作品と言っているくらいなので、オリジナルはあまりキャンディマンの背景に寄り添って作ってなかったのだろう。
警察の暴力や社会や構造の中に人種差別はもう沢山だ、それを排除するためならキャンディマンの力も借りるという大変悲しい結末である。最近観た『ハロウィン』シリーズのブギーマンの立ち位置が大変微妙な描かれ方をしていたので、それと比べると本作はキャンディマン誕生の話と人々からどう思われているのか大変よく描かれている。強いて言うなら、プリアンナと父親の関係にもう少し焦点を当てるべきだったのではないかと思う。
ちなみに本作の途中に大変微妙なシーンであるが、私の大好きなフィオナ・アップルのShameikaという曲が流れる。