@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『メインストリーム』

コッポラ一族の享楽映画にならないように努力しているが...

 

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『メインストリーム』(Mainstream)

 

人気YouTuberへと駆け上がろうとする若者たちの野心と狂気を描く。ロサンゼルスで暮らす20代の女性フランキーは、映像作品をYouTubeで公開しながら、寂れたコメディバーで生計を立てていた。そんなある日、天才的な話術を持つ男性リンクと出会った彼女は、リンクのカリスマ性に魅了され、作家志望の友人ジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作を始める。破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は注目を集め、リンクは瞬く間に人気YouTuberに。しかし「いいね!」の媚薬は、いつしかリンクの人格をむしばんでいた。やがて世界中のネットユーザーから強烈な批判を浴びると、リンクの野心は狂気となって暴走していく。

 

 エンターテインメント界隈を舞台に野心があるのにいまいちやりたいことが分からずパッとしない若者たちが、ある出来事をきっかけに有名人になっていくというストーリーは古風で伝統的な題材を扱っている本作であるが、You Tuberという現代的な職業にフォーカスすることで新しい感じになっている。

 

 一応念のため言っておくと、私はコッポラ一族の映画が好きではない。やりたいことは分かるが、作品の根底にある意識がとてつもなく鼻につくからだ。(たぶん『ロスト・イン・トランスレーション』が嫌いすぎて、他の作品も受け入れなくなっているのだと思う) 本作ではおそらく裕福な一族に育ちその反発ゆえ誤った道に走るリンクが監督の立場のように思えるが、実は何をやりたいか分からずもがくフランキーが監督の立場だと思う。

 

 この映画ではリンクの言動がいわゆる世間から嫌われる役を全部一人で背負っているが、実は脚本を書いているフランキーもかなり悪いことをやっている。映画のラストはフランキーは改心するのだが、あまり映画の肝のようになっておらず微妙な描写になってしまっている。正直都合が良すぎるような展開である。監督としてはフランキーのような立場の人間を責めることはできなかったのだろう。

 

 そして言及しておきたいことがもう一つある。それはリンク演じるアンドリュー・ガーフィールドの凄さである。『アンダー・ザ・シルバーレイク』の狂気演技も凄かったが、本作はそれ以上であった。特に終盤の胡散臭い追悼ダンスからの狂気スピーチ。なんか歴代スパイダーマンを演じる人はああいうヘンテコダンスを極めれる天才なんだろうか。