意外と設定がしっかりしてる
『ザ・フォーリナー 復讐者』(The Foreigner)
アイルランドの過激派によるテロが物語のテーマということで、80年代あたりかと思っていたら、物語の冒頭部分でスマフォが登場するので設定は現代だ。娘がアイルランドの過激派テロに遭遇し亡くなることで娘の復讐を果たそうと主人公クワン(ジャッキー・チェン)が奮起する。いきなりクワンが副首相(ピアーズ・ブロスナン)に対してトイレに手作り爆弾をしかけるなどのカタギではない手段で復讐をしようと試みるので、ツッコミが止まらなかったし、別荘における復讐戦はやばすぎる。しかし物語が進みにつれて、クワンが元米国特殊戦闘員であったことが判明していくので、クワンに対してのキャラクターつっこみはちゃんと解決する。またアイルランドの過激派テロをさせようと促す政治家やテロが起きたときにどうにか終始させようとする動きなどはとてもリアルだと思った。また主人公のクワンだけでなく、敵役の副首相の難しいことを言っているようでとんでもなく軽い野郎である人物描写もしっかりしている。よって大変よくできていた映画である。
ユーモアがあるジャッキー映画が好きな人は物足りない感があるし、物語は全体的に暗い。しかし、齢60を超えているジャッキーがアクションするという設定でみれば、この映画のアクションはしっかりと痛い描写が描かれているので、とてもリアル指向であると思う。
男性の心配ばかりしている女性登場人物もいるが、頭が切れる政治家など女性は出てくるし、信念や作戦のためならどんな相手でも性関係を結ぶのもいとわない女性も出てくる。しかし、全体的に女性が暴力を振るわれている描写も多く、それが男性の奮起するきっかけや人物描写を深くするだけのきっかけになっていたり、必要以上に暴力を受けている描写が多かった印象だ。