@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『林檎とポラロイド』

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『林檎とポラロイド』

 

る日突然記憶を失った男は、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、自転車に乗る、仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を観るなど様々なミッションをこなしていく。そんな中、男は同じく回復プログラムに参加する女と出会い、親しくなっていく。男が新しい日常に慣れてきた頃、彼はそれまで忘れていた、以前住んでいた番地をふと口にする。新しい思い出を作るためのミッションによって、男の過去が徐々にひも解かれていくが……。

 

 ちぐはぐな展開で進んでいき、具体的になぜ主人公が記憶を無くしたのかが説明されないまま物語が進んでいく。主人公が保護された病院先で先進的な実験に参加して記憶を取り戻そうとする。その実験内容が最初は独り暮らしをするところから始め極力記憶をなくす前の生活に近い暮らしをさせるところから、徐々にバーに行って一緒にダンスした女性と一夜限りのセックスをしろとか、病院に行って寿命がわずかな人の世話をして死を看取りなさいとか、かなり倫理的にどうなんだと思う実験内容をこなしていく。

 

 記憶を失った主人公はかなり几帳面な性格らしく、洋服の脱着も非常に丁寧で掃除も料理も几帳面だ。そのため難なく実験で出された課題もクリアする。もちろん主人公も終盤では嫌気がさす描写があるので、倫理的におかしい実験についてのツッコミはクリアする。そして主人公が実験の一環で病院に行き寿命がわずかな患者の世話をすることになり、患者の願いをかなえるために手作りケーキを渡すんだけど、結局その患者は死んでしまい主人公が呆然とする。そして思い出したかのように実験で住んでいた家をぐちゃぐちゃのまま飛び出し、自らの本当の家へ向かう。どうやら記憶を取り戻したらしく、本当の家はかなり散らかっており、どうやら同居人だった女性がいたらしい。そしてすぐに映画はその同居人であった女性のお墓にただづみ記憶を取り戻した主人公のシーンに映り、映画は終わる。おそらく主人公は同居人であった女性を亡くしたため、そのショックで一時的に記憶をなくしていたらしい。それで同じように近親者を無くすという追体験をしたことにより記憶を取り戻したということだと思う。という記憶を無くした人がある種のショック療法みたいな実験で再び記憶を取り戻すという一連の流れを映画化したもので、おそらくかなり監督の個人的な映画だと思う。

 

 非常に丁寧でかつ静かな映画のため、少し地味な作品になっているがこれは仕方ないかなと思う。記憶を無くす無くさない限らず、ああいう主人公が実験の一環で住む家みたいな居場所って誰にでも必要だよな思った。