『ルイの9番目の人生』(The 9th Life Of Louis Drax)
伏線の回収が若干雑だったけど昏睡状態でも意識はあるという前提で物語が進んでいき、昏睡状態でいることをルイ自身が望んでいる(最後には目覚める)という設定が新しかった。そして虐待されている子どもの話でもあり悲しかった。主人公のルイとは血は繋がっていないが育て親である父親役のアーロン・ポールが凄い良かった。予告編だけ観ると父親が最低な奴だと勘違いしてしまうが、本編を観るとその父親が母親から8回も殺されかけ共依存状態にいるルイの救いであることが分かり、おそらくそれがこの映画の感動的要素になっている。つまるところこの映画も"父と子"がテーマだった。そしてルイの心理カウンセラー役のオリヴァー・プラットも良かった。ルイを常に虐待し続け、周りの男性に依存関係を持って安心する母親がこの映画で一番悪い役どころだった。その母親も幼少期から虐待を受けて育ち、自己肯定観が低いまま、出会った男にレイプされて身ごもった子どもがルイという役柄だったが、最後まで母親には救いがなく、しかも新しい関係を持った男の子どもを妊娠する居心地悪いオチまで与えていた。そのため映画全体にミソジニーな印象を抱いてしまった。でも映画自体はホラーの中に子どもの自己選択を描く映画なので『IT』同様に嫌いではなく好みな方だったけど。