@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

午前十時の映画祭14『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』


午前十時の映画祭14『レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫』 (Raiders of the Lost Ark) [1981年アメリカ]

 

第2次世界大戦前夜の1936年を舞台に、旧約聖書に記されている十戒が刻まれた石板が収められ、神秘の力を宿しているという契約の箱(=聖櫃)を巡って、ナチスドイツとアメリカの考古学者インディ・ジョーンズが争奪戦を展開する。監督はスティーブン・スピルバーグ。出演はハリソン・フォード(インディアナ・ジョーンズ)、カレン・アレン(マリオン)、ジョン・リス=デイビス(サラー)、デンホルム・エリオット(マーカス)、ポール・フリーマン(ベロック)ほか。

 

 今年度も午前十時の映画祭を開催してくれるようとても嬉しい。ただ今年はTOHO系で多く開催されるそうで、正直アクセスが悪いから今年度は前年度ほど観にいけないのが残念。ただ4月中の『インディ・ジョーンズ』シリーズの上映は駆け付けようと思います。

 

 私はこの映画を何回も観てるし、何ならセリフ言えるくらいだけど、やはり大画面で初めて観ると再発見がたくさんある。これは歪んだ見方だけど、マーカスとベロックがインディを見る時の視線がどうも恋をしている感じに見える。冒頭のマーカスがインディの家を訪ねるシーンは何かを期待しているような目つきで「あと5歳若ければ私が(調査に)行った」という発言も、何だかインディに私も連れて行って欲しいと懇願しているようである(完全に歪んだ見方ですね、同意は全く求めてません)。ベロックだって、インディに振り向いてほしいからずっと追いかけまわしてるんだよ。マリオンを手元に置いておきたいのも、インディを繋ぎとめていくためでしょ(同意は求めてません)。

 

 あとこれはあまり指摘されてないけど、ハリソン・フォードは大変演技が上手い。特に表情だけの演技。西部劇のヒーローがよく似合うし、彼が改めてハン・ソロとかインディ・ジョーンズの役に抜擢された理由が分かったよ。ハリソン・フォードはもちろんセクシーだと思うけど、セリフを言ってないとそれが余計に増す。もちろん今も大スターだと思うけど、もうちょっと前の40年代から活躍していたらもっと凄い役者になっていただろうな。昔の映画の役者って表情だけで色んな情報を観客に伝えてくれていたので。

 

 それ以外だと、娯楽作とこれ以上ない出来だが、まあ確かにマリオンや民族など時代錯誤な描き方は指摘されてしかるべきだろう。ずっとハラハラするテンポの良さも良い。映画館で観れて本当に良かった。

 

『COUNT ME IN 魂のリズム』

 

『COUNT IN ME』 (Count In Me) [2021年イギリス]

 

ロック界を代表するドラマーたちにスポットをあてたドキュメンタリー。クライマックスへ向けた特別なセッションへの道のりを軸に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、クイーンのロジャー・テイラーアイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ポリスのスチュワート・コープランド、ロイヤル・ブラッドのベン・サッチャー、ザ・ダークネスのエミリー・ドーラン・デイビスなど、ドラマーたちがドラムの歴史や自身のキャリア、音楽やドラムそのものについて語り尽くす。監督はマーク・ロー。

 

 上記のあらすじに書いてある通りの音楽ドキュメンタリーである。各ドラマーがドラムをやるキッカケや影響を受けたドラマーを各々紹介していく合間に、ロック史の中でのドラムの役割や歴史的なドラマーを紹介していく構成である。ラストはドラムセッションなどもあり、観ていてとても楽しく、また勉強できる大変良い音楽ドキュメンタリーである。女性のドラマーを紹介して、また音楽業界にある性差別に言及していて、そこも良いと思う。また生前のフー・ファイターズのテイラー・ホーキンスも出ている。

 

 ただ音楽の紹介が90年代前半で終わっており、またどうしても白人中心の音楽史になっているのは否めない。ドラムマシーンもけっこうネガティブに紹介されており、それだとヒップホップ軽視みたいに見えるのもどうしたものかと思った。そもそもドラムマシーンなどは経済的に余裕がない人とか、音楽の知識やリソースが少ない人にとってはとても便利なものだと思う。そもそもこのドキュメンタリーに出てくるドラマーは親にドラムを買ってもらってドラムを始めた人が多く、それだとかなり親の社会的資本や経済資本に依存してしまうし、だからこそドラムマシーンをネガティブに紹介するのは、下手したら貧乏人は音楽するなというメッセージを与えてしまう可能性がある。

 

 それでもみんなが影響を受けたドラマーの話は面白いし、その映像も見えるのはとてもお得だと思う。特にThe Whoのキース・モーンの映像はハチャメチャすぎて今見てもだいぶ凄い。

 

『ブルックリンでオペラを』

 

『ブルックリンでオペラを』 (She Came To Me) [2023年アメリカ]

 

ニューヨーク、ブルックリンに暮らす精神科医のパトリシアと、現代オペラ作曲家のスティーブンの夫婦。人生最大のスランプに陥っていたスティーブンは、愛犬との散歩先のとあるバーで、風変わりな船長のカトリーナと出会う。カトリーナに誘われて船に乗り込んだスティーブンを襲ったある事態により、夫婦の人生は劇的に変化していく。監督&脚本はレベッカ・ミラー。出演はアン・ハサウェイ(パトリシア)、ピーター・ディンクレイジ(スティーブン)、マリサ・トメイ(カトリーナ)、ヨアンナ・クーリグ(マグダレナ)、ブライアン・ダーシー・ジェームズ(トレイ)、エバン・エリソン(ジュリアン)、ハーロウ・ジェーン(テレザ)ほか。

 

 監督がレベッカ・ミラー、音楽がブライス・デスナー、主題歌がブルース・スプリングスティーンっていう、バランスが取れているんだか取れていなのか、よく分からないけど、サム・レヴィの撮影がやたら凄くて、とにかくそれぞれの個性が活かされ過ぎていて、アンバランスな印象を受けた。脚本も「よくこの題材で一本映画を作ったな」と思うほど何かドラマ性が弱くて刺激が欲しくなるけど、現代の『ロミオとジュリエット』みたいで、脚本の刺激の弱さもキャストの魅力でカバー出来ていたので個人的には満足でした。

 

 ○○違いの恋愛が本作のテーマで、それがスティーブンとカトリーナ、ジュリアンとテレザの二組のカップルで描かれる。ただスティーブンとカトリーナは大人の恋愛だから良いとして、ジュリアンとテレザは微妙というか、ここが一番『ロミオとジュリエット』っぽい。ジュリアンが18歳でテレザが16歳で、かつ異人種カップルなのだが、それがどうもテレザの継父であるトレイは許せない。年齢差があることより彼氏のジュリアンが非白人であることが気に入らないようで、ジュリアンを未成年性交で訴えようとするが、このトレイから逃げるようにジュリアンとテレザは未成年の結婚が許されている州へ逃げるというのが本作の山場であり、かなり強引な点だ。ただこのトレイの人物描写がかなりリアルで、自分の娘が非白人(特に黒人男性)と付き合っているのは許せないくせに、自分自身は立場の弱そうな白人女性と結婚しているのだ。そしてその女性を守ることで自らの優位性を保持し優越感を感じる男性なのだろう。こういう男性って実際アメリカにいるだろうな(ドナルド・トランプがいい例だ)。しかもトレイが南北戦争にこだわりをもっていて、この自分たちの白人の歴史を保持したい研究したいと思っている白人男性は、そうじて問題アリみたいな意識がアメリカに存在しているんだろうね。

 

 テレザの部屋に私が大好きなWeyes Bloodのポスターが貼ってあって、大変音楽の趣味が良い子だと思ったのですが、監督がWeyes Bloodを好きなのか、それとも製作人の誰かが好きなのか、それともテレザ役の役者が好きなのか気になる。と言うのもWeyes BloodはSub Pop所属のインディミュージシャンでこういう映画ではあまり触れられないタイプのミュージシャンだからだ。こういう映画で自分の好きなインディミュージシャンのポスターが出てくると本当に嬉しいなと思った。何なら劇中歌でWeyes Bloodの曲流せば良かったのに。

 

『オーメン ザ・ファースト』

 

オーメン ザ・ファースト』 (The First Omen) [2024年アメリカ]

 

アメリカ人のマーガレットは新たな人生を歩むべくイタリア・ローマの教会で奉仕生活を始めるが、不可解な連続死に巻き込まれてしまう。やがて彼女は、恐怖で人々を支配するため悪の化身を生み出そうとする教会の恐ろしい陰謀を知る。全てを明らかにしようとするマーガレットだったが、さらなる戦慄の真実が彼女を待ち受けていた。監督はアルカシャ・スティーブンソン。出演はネル・タイガー・フリー(マーガレット)、ビル・ナイ(ローレンス)、ソニア・ブラガ(シルヴァ)、ラルフ・アイネソン(ブレナン)ほか。

 

 私は『オーメン』シリーズを全く知らないので本作だけの感想になる(グレゴリー・ベックが出演しているのを知っているくらい)。長編初監督とは思えないくらい、ホラーの王道を詰めたような巧みな演出で観ていてとても楽しい。途中まではローマカソリックの腐敗をマーガレットが暴くかのような感じでとてもハラハラする。それこそ現実で起きていた神父による児童への集団性的暴行事件を彷彿とさせる感じだ。

 

 ただマーガレットの正体が分かった瞬間から少し駆け足で強引になってしまったのが残念。もちろん前日譚の物語なので物語を大きく変えるというのに無理があるがのは理解できるが、それでもあのオチは見ていて非常に胸糞悪い。結果的に教会の権力に負ける話なのは残念だ。この辺は去年観た『エクソシスト』の前日譚と同じ気持ちになった。

 

 あとこの映画は非常に描かれている価値観が危ないというか、マーガレットが悪魔の子を妊娠していると知った瞬間に「この子を殺さないと」と中絶するのだが、結局それが失敗し、非常に苦しい出産を罰のように強いられるという形で女性が制裁される。もちろん作り手がプロライフということではないかもしれないが、結果的にプロライフ的な物語になってしまっている。また一貫して映画内では抗議活動が非常にネガティブなこととして描かれているのも非常に保守的な印象を受けた。そのくせにマーガレットが娘への愛に急に目覚めて育てたいという気持ちは美しく描くのも母性を神聖し過ぎと思う。

 

 本作はマーガレットが獣?みたいなものにレイプされるシーンがあり、それがかなり煽情的に演出されるので非常に気味が悪い。日本配給のHP見ている分には特に警告などないが、あの感じだと配給側から一言警告があってもいい気がする(ディズニー仕事しろ)。また一番許せないのが映画前半のマーガレットがある出産を目撃するシーンのモザイクだ。あのモザイクを入れないととPG12で公開できないから、ビビったディズニーがあのようなモザイクを施したのだと思うなら、だいぶ映画の品質を落としていた。まあ結局ディズニーも保守的だからな。

 

『RHEINGOLD ラインゴールド』

 

『RHEINGOLD ラインゴールド』 (RHEINGOLD) [2022年ドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ]


クルド系音楽家のもとに生まれたジワ・ハジャビは、亡命先のパリで音楽教育を受けた後にドイツのボンに移り住むが、両親の離婚により貧しい生活を余儀なくされる。ある日、街の不良たちに叩きのめされた彼は復讐のためにボクシングを覚え、「カター(危険なヤツ)」となってドラッグの売人や用心棒をするように。さらに金塊強盗にまで手を染めて指名手配された彼は、逃亡先のシリアで拘束されてドイツに送還され、刑務所内でレコーディングした曲でデビューを果たす。監督&脚本はファティ・アキン。出演はエミリオ・サクラヤ(ジワ/カター)ほか。

 

 ワーナーが出資しているけど、監督と主演はヨーロッパ組。ラップへの取り組みは『ガリーボーイ』っぽいけど、裏家業とか暴力をしつこく撮っているので、作品の方向性は音楽映画というよりギャング映画みたいな感じだった。ラッパーやプロデューサーとしての成功物語はラスト15分くらいですっぱりと済まされてしまう。ただ難民としての生きづらさからハスラーしていくさまを肯定的にスタイリッシュに撮っているあたりは潔い。まあどこまで脚色なのか分からないけど、ジワーが娘に喋っている気持ちは本当だろう。

 

 自己防衛としての暴力をかなりしつこく撮っていて、あの子どもの時のリベンジがジワの永遠の生き方になっていくのが示される一方で、せっかく自己防衛としての暴力にこだわって撮っているのだから、オランダのクラブで働くきっかけになった女性へのビンタするシーンは必要だったの?暴力の描き方に統一感がなくなってしまったような。またオランダでジワは売春の囲み業をやってるのだが、そこでムスリムは女性たちは働かせないようにして「○○の女はダメ、○○の女は良い」みたいな二項対立を肝心の女性たちがいない場所で男たちが争いの種にしているのがどうも気に入らなかった。そのくせにジワの守りたい妻や娘が良い感じで出てくるのが、すごく男性中心的な物語にしてしまっている。モデルになったカターが妻や娘にそういうものを見せたくないからこうなったのか、とにかくその辺はクリーンな映画だと感じた。

 

 シリアスな映画だと思わせておいて、けっこうユーモアある演出をとっている。この辺はマーティン・スコセッシガイ・リッチーからの影響かな。ただ男性同士の関係をエロチックに撮っていないので、ホモソーシャルに関してはけっこうドライな人なのかもしれない。あともうちょっとラッパーとしての才能に焦点を当てた描写も欲しいなと思った。

 

『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』

 

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』 (Ghostbusters: Frozen Empire)

 

真夏のニューヨーク。日差しが降り注ぐビーチで大勢の人々が海水浴を満喫するなか、海の向こう側から突如として巨大な氷柱が大量に現れ、街は一瞬にして氷に覆われてしまう。ゴーストバスターズとしてニューヨークの人々をゴーストたちから守ってきたスペングラー家は、その元凶が全てを一瞬で凍らせる「デス・チル」のパワーを持つ史上最強のゴーストであることを突き止め、事態を解決するべく立ち上がる。監督はギル・キーナ。脚本はギル・キーナ&ジェイソン・ライトマン。出演はポール・ラッド(ゲイリー)、マッケンナ・グレイス(フィービー)、フィン・ウルフハード(トレヴァー)、キャリー・クーン(キャリー)、セレステ・オコナー(ラッキー)、ローガン・キム(ポッドキャスト)、ビル・マーレイ(ピーター)、ダン・エイクロイド(レイモンド)、アーニー・ハドソン(レイモンド)、アニー・ポッツ(ジャニーン)、クメイル・ナンジアニ(ナジーム)、パットン・オズワルド(ヒューバート)、ジェームズ・アカスター(ラーズ)、エミリー・アリン・リンド(メロディ)ほか。

 

 怒り狂った感想を書いた前作『ゴーストバスターズ アフターライフ』よりかは本作の方が好きです。自分でもびっくり。ちょっと和解できそう。それもきっと前作より監督が交代したのが大きい、「よっ、英断!」。ジェイソン・ライトマンのお父さんレガシーを見せつけられた分、その反動で本作は純粋に邪念無しで楽しかった。企画モノみたいな立ち位置で、そりゃ楽しいよね。子供たちだけで何かを解決しようとするところにおじいちゃんが絡んでくるという話はまんま監督の過去作の『モンスター・ハウス』みたいですごく楽しかった。

 

 フィービーとあの幽霊の女の子メロディの関係はすごくクィアっぽかったんだけど、もう少し2人の関係を掘り下げても良かったのかな。まあコロンビアかソニーが大作でレズビアンを描けくはずがないけど。フィービーが幽霊になったあのシーンとか、ラブストーリーのテンプレートじゃないですか。

 

 ただ悪い部分もあって、登場人物が前作から増えて、1人ひとりの人物描写が薄くなってしまっているし、そもそもどうやってゴーストバスターズは生計たててるんだという疑問も(それを言ったらお終いだけど)。また相変わらず新旧キャストのケミストリーの無さも見られたし編集ももたついている。あとフィービーがゲイリーのことを父と呼ぶみたいなクダりはまるまる必要ない。

 

 良いところもある。大量のマシュマロンは可愛いし、新しいキャストも良い。何よりダン・エイクロイドが改めて凄く良いと思ったので、彼の演技をもっと他の映画でも見たいなと思った。

 

『オッペンハイマー』

 

オッペンハイマー』 (Oppenheimer) [2023年アメリカ]

 

第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。監督&脚本はクリストファー・ノーラン。出演はキリアン・マーフィ(ロバート・オッペンハイマー)、ロバート・ダウニー・Jr.(ストローズ)、エミリー・ブラント(キティ)、フローレンス・ピュー(ジーン)、マット・デイモン(レスリー)ほか。

 

 基本的に退屈になるであろう伝記映画を、3時間の大作なのにハラハラさせながらテンポよく進んでいく作りにしたのは本当に凄いと思う。私はノーランの映画を情熱を持って分析できる人間ではないのだけど、本作に至っては事前にあらゆるメディアで情報やら解説やらが溢れていたので、それらを事前にチェックしていたおかげであまり難解な印象は受けなかった。でも見逃していた何かはきっとあるだろうな。日本でもヒットしているみたいですが、それはアカデミー作品賞を受賞したからなのか、それとも違うのかは分からない。

 

 ただ面白く感じる分、その面白さが自分の中で罪に変わることが何回か起きる。特にロスアモスの核実験のシーンとか、仲間の科学者が集まってくるシーンとか、本当に心が躍ってしまったし、オッペンハイマーが日本に原爆が落ちたかどうか、ずっと待っているシーンは私もオッペンハイマー同様にハラハラしてしまった(広島と長崎では酷いことになっているのに)。映像表現というのは本当に罪で、善悪の判断を鈍らせる恐ろしいメディアだなと改めて思った。

 

 『デューン 砂の惑星 PART2』で核ミサイル撃っておいて、その後の汚染とか考えないのかと思っていたので(別にこれだけではないですが)、それと比べると本作の核や原爆の描き方は誠実には映った。ただそれらを正しく描いたというだけで評価させるようになるのは少し違和感を覚える。ただ日本でも『ゴジラ-1.0』みたいな作品もあるし、それは日米お互い様だろう。少なくとも日本の大手メディアで『ゴジラ-1.0』に天皇制批判や戦争加害の歴史を描いていないという批評が載ったというのを聞いてないし見てもいない。その点『オッペンハイマー』についてはその日本の被害について描写がぬるいみたいな記事を大手映画メディアが載せていたりしたので、アメリカの誠実さを考えたり。と言いながらも簡単に言うと『ゴジラ-1.0』も『オッペンハイマー』も二つとも好きな作品ではないです。技術が凄いとか言われても、それが"売り"なんでしょうと思うし。オッペンハイマーの罪についての映画だけど、名誉回復に一役買っている側面もあるし。

 

 それより女性の描写の悪さの方が個人的に抗いたい気持ちだ。オッペンハイマーが尋問を受けているシーンでインサートとしてオッペンハイマージーンとセックスしているシーン(あの体位、何ていうの?)をキティが見るという、たいへん謎なシーンである。それ、ノーラン、お前の妄想だろって思ったね。女の人生が全て男と紐づけられてるとでも思ってるのか。本作は広島で高校生と大学生向けに鑑賞会したらしいけど、ああいうの事前に言ったのかな。ドラマとか映画のセックスシーンってポルノと違って唐突に表れて、それが結構衝撃になるので処理できないことが多いと思うのですが、高校生とか大学生はまだ若いし、全然映画とかドラマ観ていない子たちだったらけっこうトラウマになるだろうな。