@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『RHEINGOLD ラインゴールド』

 

『RHEINGOLD ラインゴールド』 (RHEINGOLD) [2022年ドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ]


クルド系音楽家のもとに生まれたジワ・ハジャビは、亡命先のパリで音楽教育を受けた後にドイツのボンに移り住むが、両親の離婚により貧しい生活を余儀なくされる。ある日、街の不良たちに叩きのめされた彼は復讐のためにボクシングを覚え、「カター(危険なヤツ)」となってドラッグの売人や用心棒をするように。さらに金塊強盗にまで手を染めて指名手配された彼は、逃亡先のシリアで拘束されてドイツに送還され、刑務所内でレコーディングした曲でデビューを果たす。監督&脚本はファティ・アキン。出演はエミリオ・サクラヤ(ジワ/カター)ほか。

 

 ワーナーが出資しているけど、監督と主演はヨーロッパ組。ラップへの取り組みは『ガリーボーイ』っぽいけど、裏家業とか暴力をしつこく撮っているので、作品の方向性は音楽映画というよりギャング映画みたいな感じだった。ラッパーやプロデューサーとしての成功物語はラスト15分くらいですっぱりと済まされてしまう。ただ難民としての生きづらさからハスラーしていくさまを肯定的にスタイリッシュに撮っているあたりは潔い。まあどこまで脚色なのか分からないけど、ジワーが娘に喋っている気持ちは本当だろう。

 

 自己防衛としての暴力をかなりしつこく撮っていて、あの子どもの時のリベンジがジワの永遠の生き方になっていくのが示される一方で、せっかく自己防衛としての暴力にこだわって撮っているのだから、オランダのクラブで働くきっかけになった女性へのビンタするシーンは必要だったの?暴力の描き方に統一感がなくなってしまったような。またオランダでジワは売春の囲み業をやってるのだが、そこでムスリムは女性たちは働かせないようにして「○○の女はダメ、○○の女は良い」みたいな二項対立を肝心の女性たちがいない場所で男たちが争いの種にしているのがどうも気に入らなかった。そのくせにジワの守りたい妻や娘が良い感じで出てくるのが、すごく男性中心的な物語にしてしまっている。モデルになったカターが妻や娘にそういうものを見せたくないからこうなったのか、とにかくその辺はクリーンな映画だと感じた。

 

 シリアスな映画だと思わせておいて、けっこうユーモアある演出をとっている。この辺はマーティン・スコセッシガイ・リッチーからの影響かな。ただ男性同士の関係をエロチックに撮っていないので、ホモソーシャルに関してはけっこうドライな人なのかもしれない。あともうちょっとラッパーとしての才能に焦点を当てた描写も欲しいなと思った。