@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ゴーストバスターズ アフターライフ』

オタクは帝国軍側だった...

 

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ゴーストバスターズ アフターライフ』(Ghostbusters:Afterlife)

 

少女フィービーは母や兄とともに、祖父が遺した田舎の古い屋敷に引っ越して来る。この街では30年間にわたり、原因不明の地震が頻発していた。ある日フィービーは地下研究室でハイテク装備の数々を発見し、祖父がかつてニューヨークを救ったゴーストバスターズの一員だったことを知る。そんな中、フィービーは床下にあった装置「ゴーストトラップ」を誤って開封してしまう。すると不気味な緑色の光が解き放たれ、さらなる異変が街を襲いはじめる。

 

 私はすごく失望している...どのくらい失望しているかというと『スターウォーズ エピソード9スカイウォーカーの夜明け』を観た時と同じくらいの失望だ。あの作品はオタクは反乱軍側ではなく帝国軍側であることを知らせる作品であった。そしてこの2作品はあらゆる点において似ている...

 

 まず私は2016年版ゴーストバスターズを心底愛している。偏愛していると言っていいだろう。でも2016年版を通して1984年のゴーストバスターズも好きになった(まあ細かい描写にイラつくことはあるが)。本作の製作がアナウンスされたとき、本作の監督であるジェイソン・ライトマン(1984年版を監督したアイバン・ライトマンの息子さん)が「ゴーストバスターズをみんなのもとに取り戻すよ」というクソツイートをし、それから主人公が旧作ゴーストバスターズメンバーの家族が主演ということで旧作ゴーストバスターズの正式な続編ということが発表されたのだ。その時点で怒り心頭だ。しかも本作の宣伝活動の中でソニーは2016年版をなかったこと扱いにした。もうこの時点で愛が憎しみに代わった。でも一応私は観に行った。(偉い!!)

 

 まず全体的に新しいことをやってやろうという意図は皆無で、完全にオタクに媚び打った作品。1984年版のゴーストバスターズを観ていない人間は置いていかれる内容で一見さんは断り映画だ。しかもこれみよがしに1984年版のゴーストバスターズの映像を観せてくる演出で観客を全く信用していない。それでも売れるという保証の元作られており、オタクに媚び売れば売れるというジンクス通りに作っており私たちは帝国側であることを再認識した。

 

 本作で一番個人的にアウトだと思ったのは終盤の故人をCGでよみがえらせる演出だ。というか故人をCGで蘇らせるの断固反対。映画後半は画面を直視していない。というか直視できない。ここもスターウォーズEP9っぽい。私たちは帝国側だ。

 

 前半は面白かったよ、でも正直旧キャストが集まった後半テンポが失速した。それはキャストが年を取ったからじゃなくて、普通に脚本が悪い。ここはお父さんの偉大さに負けず、前半の自分の持ち味を生かし続けるべきだったのに、息子は負けた。ダサい。偉大な父親をお持ちのようでしたね。本作でも偉大な祖父の力を借りてましたしね。しかもお母さんの父親嫌いも都合よくつかわれましたしね。本作は血統主義的オチで非常に残念でした。2022年ですよ。たたでさえ普通の人がジェダイになれないことが分かったのに、ゴーストバスターズにもなれないことが分かったなんて悲しいよ。しかもポッドキャストとラッキーはもっと幅を広げられたはずだよ。特にポッドキャストなんてめちゃくちゃ面白いけど、警察に捕まった時に彼だけあの後どうなったのかぼやかされたし。特に本作が家族にフォッカスしている作品だけあって、ああこの監督は白人の家族以外に興味ないんだなと。

 

 田舎町が舞台だけどまずそれがいかされてない。子供がゴーストバスターズになるから田舎町にしたいんだろうけど、それでもそこに住んでる人がゴーストに出会った描写が雑すぎだし、あの後ゴーストバスターズたちをどう思ってるのか一切触れられない。というかエンドロールはほとんどが旧キャストばかりにフォーカスされて、肝心の新キャストのその後とかは全く分からない。あの町の人たちもどうなったのか分からない。そのくせ町の閉塞感を最初の方に存分にだしてきたり、あの飲食店で働いている子供たちはおそらくまだ未成年で本来だったら高校生じゃないかな?主人公の兄であるトレヴァーも15歳だけも学校に行ってないみたいだし。ラッキーの町を離れたい的な願望も最後はどうなったかよく分からない。とにかく田舎町の描写が下手くそだったと思う。この辺をもっと上手く活用できれば面白くなっていたのに。

 

 あと本作の悪役幽霊コーザはジェンダーレスの邪神だけど、ジェンダーレスって言っているのに"She"とか勝手に言われて(日本語字幕だと嫌な女、しつこい女という感じの表現だった)、しかもそんな邪神が血統主義ゴーストバスターズに退治され大変悲しい気持ちになった。もうこんな血統主義な世界はぜひコーザに退治されればいいのにと思う。

 

 脚本もアラがありすぎだが、そもそもゴーストバスターズはギャグ要素が強い作品だったので、そこは突っ込まないけど、だからこそ本作のギャグとドラマのバランスの悪さが目立つ。旧キャストが出てきてからはずっとテンポが悪かった。その辺も本作が白けてしまう大きな要因だ。そのへん2016年版はギャグに降りきっていたので良かった。(まあこっちは泣ける場面が多数あったけど)

 

 この映画で一番面白かったのはおまけシーンでシガニー・ウィーバービル・マーレイ1984年版ゴーストバスターズの冒頭部分の電気ショックを再現しているジーンですね。たぶんあのやり取りは普段もあの夫婦はやっているんだろうなと分かる感じがしました。夫婦喧嘩した後にやって、その後セックスしてそうだもん。でもねあの電気ショックを与えるべきはビル・マーレイじゃなくてジェイソン・ライトマンソニーでしょ。ちょい役だけどJ・K・シモンズオリヴィア・ワイルドとトレイシー・レッツが出てる。

 

 だからこの作品が気に入らないとか嫌いとかでも別に監督にアンチDM送ったり、キャストにレイシズムDM送ったり、ネット上でリンチしたり、批評サイトに行って思いっきり評価を下げたりするマネなんてしないんだよ。やっぱり2016年版のキャストにしたことは改めて許されることじゃない。ここでのネット上の動きもスターウォーズっぽい。これを観た後なのにこの動きを止めなかったソニー、確信犯ですね。私たちは帝国側だ。オタクなんてクソだ。権力側についた時点でクソだ。もっとみんな早く気付くべきだった。