@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ポッド・ジェネレーション』

 

『ポッド・ジェネレーション』 (The Pod Generation) [2023年ベルギー・フランス・イギリス]

 

AIが発達した近未来のニューヨーク。ハイテク企業で働くレイチェルは、大企業ペガサス社が提案する新しい妊娠方法に心ひかれる。それは出産までの10カ月間、持ち運び可能な卵型ポッドで赤ちゃんを育てるというもの。しかし植物学者として自然界の多様性を守るべく日々奮闘しているパートナーのアルビーは、自然な妊娠を望んでいた。やがてペガサス社の子宮センターを見学したレイチェルはポッド妊娠への思いを募らせていき、アルビーも彼女のまっすぐな愛に突き動かされて一歩を踏み出すことを決意。2人はポッド妊娠だからこそ生じる不安や困難に悩みながらも、手を取り合って進んでいく。監督&脚本はソフィー・バーセス。出演はエミリア・クラーク(レイチェル)、キウェテル・イジョフォー(アルビー)ほか。

 

 まあアイデアはけっこう面白いと思うし、日常の生活にSFを見出す演出は『アフター・ヤン』みたいで興味深かった。どっちも生活に和があったのは面白いが、少しエキゾチシズムを感じた。

 

 ただ話の内容はけっこう保守的と言うか、少し古いフェミニズムだと思う。まずレイチェルとアルビーはできるだけ人工的な空間から離れて自然分娩を目指して自然豊かな場所で自宅出産しようとするんだけど、おそらくこれは1970年代あたりに病院で赤ちゃんを産むより自宅で産んだ方が良いみたいなあまり科学的な根拠のない考えであるのだが、おそらくこの映画のレイチェルとアルビーはこの考えを支持している。

 

 次に気になったのが、この映画の世界ではポッドの中で胎児を育てるほか、女性の子宮の中で育てるということもまだ存在している世界だ。そのまだ子宮を使って出産している女性たちが全員黒人の女性だったのが気になった。監督があまり人種を意図していなかったからこうなってしまったのかもしれないが、現実では貧困から代理出産を請け負う女性たちがいるわけだし、そのへんはもう少し気を使って人選すべきだっただろう。またおそらくこの映画の世界でポッドを使って胎児を育てるのは裕福な人たちの選択肢であるみたいなので、裕福じゃない女性たちの生殖の権利はどうなっているのか、この映画で描かれていないことがすごく気になった。

 

 またラストのエンドロールにギャグ的な要素で「いつか子どもが親を選ぶ時代が来るのです」みたいなセリフがあったが、それも凄く問題があるというか、反出生主義みたいな考えのセリフをラストに入れる価値観はさすがにどうかと思うし、そもそも苦労してでも子どもを持ちたい親を描いた作品に相応しいセリフだったのだろうか、この映画そのものを破壊してしまっていないだろうか。