@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ブルー・バイユー』

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『ブルー・バイユー』(Blue Bayou)

 

韓国で生まれ、3歳の時に養子としてアメリカに連れてこられたアントニオは、大人になったいまはシングルマザーのキャシーと結婚して自ら家庭をもち、娘のジェシーも含めた3人で貧しいながらも幸せに暮らしていた。ある時、些細なことで警官とトラブルを起こして逮捕されたアントニオは、その過程で30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。移民局へと連行され、国外追放命令を受けてしまう。下手をすれば強制送還となり、そうなれば二度とアメリカに戻ってくることはできない。アントニオとキャシーは裁判を起こして異議を申し立てをしようとするが、そのためには5000ドルという高額な費用が必要だった。途方に暮れる中、家族と離れたくないアントニオはある決心をする。

 

 監督、脚本、主演をジャスティン・チョンが務めており、法的な不備によりアメリカを離れざるを得なくなった人々を描いたかなり強烈なメッセージを含んだ作品だ。

 

 まず映画の撮り方がジャスティン・チョンの作家性なのか分からないが、テレンス・マリック監督からかなり影響を受けたであろう撮り方をしている。特に夕陽の撮り方なんてそのままテレンス・マリックであった(笑)私は個人的にテレンス・マリックの撮り方が苦手なのだが、何とか我慢して観ていた。

 

 本作の主人公が養子縁組でやってきたにも関わらずその両親が虐待気質で、それゆえ自分自身を守るために複雑な性格になったアントニオが裏表もある奥行きある人間味あふれる人物描写になっている。しかしその複雑性が結果的に家族を苦しめて、最終的にはそれが自分に返ってくるという難しいラストにもなっている。大変重い内容の映画であるが、多くの人に観てほしい作品だ。

 

 と作品を褒めたが、実はこの映画を制作にするにあたりジャスティン・チョンがモデルにしたであろう男性からこの映画をボイコットするような動きがあるらしい。まずジャスティン・チョンが最後まで丁寧にモデルになった男性へリスペクトをしなかったのが原因だと思うが、正直この映画はラストに実際に強制帰国させられた人々が出てくるのだが、それを思うとやはりジャスティン・チョンが行った言動は許されるものではないだろう。作品が良かっただけに、この騒動はショックだ。

Adoptees Call For Boycott of “Blue Bayou” – Reappropriate