@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

 

ギレルモ・デル・トロピノッキオ』(Guillermo del Toro's Pinocchio) [2022年Netflix製作]

 

 ギレルモ・デル・トロが、アニメーションで描くピノッキオの物語。おもちゃ職人のゼペットじいさんが作った操り人形のピノッキオに命が宿る。本物の人間になりたいと願うようになったピノッキオは、冒険の中で苦難を乗り越えていく。

 監督はギレルモ・デル・トロとマーク・グスタフソン。出演はグレゴリー・マン(ピノッキオ/カルロ)、ユアン・マクレガー(セバスチャン)、デビッド・ブラッドリー(ゼペット)、ティルダ・スウィントンクリストフ・ワルツ、フィン・ウルフハート、ケイト・ブランシェットロン・パールマンなど。

 

 おそらくこの映画を観ながら比べるのはディズニーの『ピノキオ』だと思う。デルトロ監督もディズニーの『ピノキオ』はお気に入りだと語っている。本作でもラストにピノキオは人間になるのでディズニーの話を追随している。(面白いが去年ディズニーが実写化作品した『ピノキオ』は人間になったかどうかは濁していた) じゃあ何が違うのかと言えば戦争とファシズム下にあるイタリアという時代背景を色濃くしていた。このあたりは『パンズ・ラビリンス』を彷彿とさせる。

 

 ゼペットは戦争を恨んでいてファシズムの中に子供たちへのあるべき姿に反感を持つのだけど、それでもゼペットの価値観である良い子供像を何度もピノッキオに押し付けてしまう。そのせいでピノッキオを失うことになりそして取り戻すのだが、この親の贖罪がテーマになるあたりは世評を反映していて面白い。ピノッキオが人間になることでゼペットとゼペットとスパッツァトゥーラの死を看取るというのも死を描くことで、人間の生を描いている。

 

 またデルトロ監督らしいところどころあるのだが、一番デルトロらしいと感じたのはピノッキオに命を宿したのが実態の無い木の精霊の仕業みたいにするところである。絶対に魔法を使わないのだ。それでも一番魔法っぽいラストの人間になるシーンの木の精霊が少しこわい見た目をしているのも彼らしい。あと最初はピノッキオに意地悪してた猿のスパッツァトゥーラの内面を掘り下げ最後はピノッキオの生涯の家族になるのも彼らしい。

 

 あと本作で一番驚いたのが、かなり意図的にミュージカルで『ピノッキオ』を作ったことだ。(こんなミュージカルしてるのなら劇場で観に行けばよかった...) またこの曲が秀逸で最近観たミュージカルの中でもしっかり頭の中に歌が残ったので、ストーリーを伝える手段としての歌がしっかり形になっていたからだと思う。 とても良い作品だった。