『シェイプ・オブ・ウォーター』 meets 『スプラッシュ』
『マーメイドインパリ』(A Mermaid in Paris)
セーヌ川のに浮かぶバーで働くガスパールは、ある夜傷ついた人魚を見つける。ルラと名乗る人魚は、美しい歌声で男性を魅了し命を奪っていた。ルラはガスパールの命も奪おうとするが、過去の失恋で傷ついたガスパールにルラの歌声はきかなかった。ルラを献身的に看病するガスパールに惹かれていくルラ。しかしルラは二日目の朝日が昇る前に海に帰らなければ命を落としてしまうことに...
本作はおそらく『人魚姫』をモデルにしている。そして何より『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スプラッシュ』に確実に影響を受けたであろうシーンが盛りだくさんであった。
面白いなと思ったのが、ガスパールとルラの気持ちが高まった瞬間にバックで歌が流れるのですが(おそらく俳優さん自身が歌っている)、ルラが歌うと人を殺してしまうという設定柄直接歌うことができなくて、ミュージカルのようにはなれない。そのためバックで曲が流れるだけなのだ。ミュージカルになれない人魚姫、声を出すことができないためミュージカルになれないというシーンはそのまま『シェイプ・オブ・ウォーター』であった。ちなみにルラを病院から救い出すシーン、そのまま『シェイプ・オブ・ウォーター』と同じシーンであった(笑)
しかし『シェイプ・オブ・ウォーター』より『スプラッシュ』っぽいと思うのが、ガスパールが最終的にルラのために自分の人生をなげうってでも、ルラとの恋に生きるというラストである。今までのおとぎ話の男女を逆転させたようなラストだ。というかまあこれは『スプラッシュ』が80年代にすでに示したラストなのであるが。
とにかく『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スプラッシュ』の良いところを抽出した映画であるが、私は嫌いじゃない。というかたぶんこの作品はアンチ・ディズニー版『リトル・マーメイド』的な作品という意味合いの方が強いのではないか。