@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『逆転のトライアングル』

 

逆転のトライアングル』(Triangle of Sadness)

 

モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係アビゲイルだった。

2022年、スウェーデン・イギリス・フランス・ドイツ製作。言語は英語。上映時間は147分。レイティングはG。日本配給はギャガ。

監督&脚本はリューベン・オストルンド。出演はチャールビ・ディーン(ヤヤ)、ハリス・ディキンソン(カール)、ドリー・デ・レオン(アビゲイル)、ウッディ・ハレルソンほか。


 私はリューベン・オストルンド監督が苦手だ。メッセージとかはクリアなのに、そのメッセージがかなり理解されにくい分かりづらいかたちで提示される作家性なのだが、本作でも存分にその作家性が発揮されて、イコール私は好きじゃない作品というわけだ。

 

 まず上映時間が長い。3部作にしないほうが良かったと思う。船の転覆事件が起きてヒエラルキーが崩れるといのが肝だが、それまでが異常に長い。もしかしたら本国と日本配給されるときの宣伝文句が違い過ぎたのも原因かもしれないが、それを踏まえてもテンポが非常に悪い。ゲロと下痢よりこの上映時間と観客の忍耐を試すかのような伝わりにくい脚本の方がよほど下品だと思うのだが。

 

 そしてようやく本作の一番盛り上がるであろう、船が転覆して孤島で過ごす数日もなんか釈然としない。私はもっとあの船に乗っていた嫌な乗客が嫌な目にあう姿を見たかったのだが、リューベン・オストルンド監督はそんな分かりやすい革命は見せてくれないのだ。頭が良いのやら、ツメが甘いのやら。

 

 ヤヤとアビゲイルは女性でかつ人種的マイノリティで表向きでは連帯しつつ、実は果てしない人生の差があるのだが(ヤヤがアビゲイルを島を脱出したら雇ってあげるという搾取の提案をしたのがアビゲイルの殺人衝動を与えるきっかけになっただろう)、それがとても現実的で資本主義と格差社会がいかにマイノリティ同士を分裂させるかを教えてくれる。それがもうちょっと上手く提示され分かりやすく表現されればな...