@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『人生は二度とない』

『人生は二度とない』

スペインを旅する3人のインド人青年の友情や葛藤をユーモアを散りばめながら描き、本国インドで大ヒットを記録したロードムービー大富豪の娘との結婚が決まったカビールは独身最後の旅行として、多忙な証券ディーラーのアルジュンと皮肉屋のコピーライターのイムラーンら学生時代の仲間たちとともに3週間のスペイン縦断の旅に出る。アルジュンは旅行中も仕事を続けて2人をいら立たせ、イムラーンはスペインに住む生き別れの父に会うべきか悩む。やがて、スキューバダイビングのインストラクターであるライラとの出会いが、彼らに変化をもたらしていく。

 

 インドの『ハングオーバー』って感じで3人の男がスペインで独身最後のパーティーをして盛り上がるという能天気な映画である。(インドにもバチェラー・パーティーはあるらしい) 笑ってしまうのだが、本家『ハングオーバー』に似せたキャスティングしていて、特にアルジュン演じるリティク・ローシャンはブラッドリー・クーパーにそっくりだ。

 

 登場するインド人役者が男女(とりわけ女性に顕著だが)とも肌が薄く、かなりカラーリズムの観点から良くない映画だ。言語もデリー語と英語とスペイン語が半々くらいで、かなり海外で受けるであろう作品のステレオタイプをあまりに内面化しすぎた作品で、むしろインド映画の良さを脱色してしまった感がある。

 

 金持ち男3人が友情をスペイン旅行(何泊するんじゃい!)で再認識するみたいな超鼻につく内容で(人生最大の問題が自分はまだ本当の恋をしてないとか、マリッジブルーとかなんだよ)、全編に渡ってスペインでのロケは凄いが、出てくるスペインがトマト祭りとか牛追い祭りとかフラメンコで、いかにもアジア人が考えたスペインのステレオタイプって感じで、映画全体もスペイン観光映画だ。(この映画の影響でインド人のスペイン旅行者が急増したらしい)

 

 女性の描き方も悪くて、特にナターシャなんてかわいそうだ。そりゃ独身最後の旅行に付いてくるなんて空気読めないけど、明らかにナターシャがきてからの三人の態度が露骨に悪くてさ。女がいると男の友情は危機を迎えるらしいよ。(けっ) そのくせ女とは恋愛するんだからおこがましい奴らだよね。(もうさこの恋愛はプロパガンダとか疑うレベルだよ。本当に描写として必要なの?本当は友情の話だけにしたかったんじゃないの?)

 

 鑑賞後よく調べてみたら、なんとこの映画は2011年公開作品らしい!納得だ。少し古臭い価値観とかさすがに今のインド映画では描かれないでしょみたいな描写がたくさんあったもの。それでもなぜ今のタイミングで日本公開なのか。一つ明確な理由があるとしたら同時期に『RRR』が日本公開だから、それに合わせたのかな?それについ最近『アーナンド先生...』も日本公開したし。インド映画が盛り上がるからついでにみたいな感じかな。

 

 本作は女性監督&女性脚本家による作品で、女性が描く男性の友情物語かな。(また男性にとって本当に愛していない女性との結婚はいかに地獄かを描いている作品でもある) あのスペインでの大掛かりなロケができてしまうあたり、インド映画の産業としての強さを感じる。