『ファーストラブ』WOWOW
北川景子の主演で直木賞作家・島本理生の小説を映画化したミステリー。父を刺殺したとして逮捕されたアナウンサー志望の女子大学生の複雑な心に、公認心理師の女性が迫る。
川沿いを血まみれで歩いていた大学生の環菜は、自分の父親で画家の那雄人を殺した容疑で逮捕される。“動機はそちらで見つけてください”という環菜の挑発的な言葉は世間を騒がせる。公認心理師の由紀は、夫・我聞の弟で弁護士をする迦葉とともに、環菜の動機を探るため、拘置所の接見室で彼女と面会を重ねる。環菜の二転三転する供述に翻弄され、真実がゆがめられていく中で、由紀は環菜に過去の自分に似た“何か”を感じ始める。
父親やその周辺にいた男性から性的虐待を受け続けた女性を書生の心理士が救う話。環菜の初恋によってがようやく本人が救われるのが痛々しい。視線という性暴力がいかに女性を苦しめるのかしっかり描かれていた。ただし堤監督なので、ねっとりした演出が耐えられない。こういう題材にどう考えても不向きな監督だろう。