@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『1640日の家族』

『1640日の家族』

 

生後18カ月のシモンを里子として迎え入れたアンナと夫ドリス。夫妻の子どもたちとシモンは兄弟のように育ち、4年半の幸せな月日が流れる。ある日、シモンの実父エディが息子を手元で育てたいと申し出たことから、彼らが家族でいられる時間にタイムリミットが訪れる。

 

 養子縁組ではなく、里子として元の家族に戻れるようにそれまでの期間だけ家庭という場所を提供する制度のお話である。映画の中では家族みんなシモンも含め、シモンが里子でいずれいなくなることも分かっていて、よく普段から会話する家族だということが伝わってきた。(日本だと本人や家族に里子のことを告知するかどうかが映画の題材になりそうなので)

 

 日本もそうだが里子になるには高いハードルがある。(平均より裕福だし、あとおそらく両親のどちらかは家にいないといけないし、映画だとアンナが専業主婦だった思う) 裕福で愛情をたくさん注いでくれたシモンが元の家庭に戻るのは観ていて少し辛い気分になるが(本人も複雑だろう)、これは映画として観てしまうとどうしてもこういう気分になってしまうのでしょうがない。

 

 まあどちらにせよ子育ては各家庭の経済状況にどうしても依存するので、どちらの家庭で育てばシモンは幸せになるなんて決めつけてはいけないんだよな。お金はあったほうがいいけど。それでもすごいと思わせてくるのが、機能している里親制度というか向こうの福祉制度である。一見冷たいと思わせるくらい冷静な立場でシモンを見るのだが、あれはシモンを一個人としてしっかり尊重してるからなんだよね。

 

 映画としては2つの家庭を断罪しないようにしているし、里親制度も批判していない。映画を良心的な気持ちで作った人だと思う。

 

 この映画のモチーフで大事なところがキリスト教(カソリック)だ。アンナが信仰心深い人のようで、よくシモンを教会に連れて行っていた。愛情深くシモンを見ており、まるでマリアとイエスのような深い関係で映画のラストも二人が離れるのもマリアとイエスのようだった。また父と子の関係のモチーフもあり、それが『スたー・ウォーズ』で表現されていた。

 

 個人的にアンナとシモンが泣きながら別れるシーンより、ラストのアンナと家族がモールでシモンが実父と楽しそうに買い物していたのを見えないところから見守ってたシーンが大変良いと思った。私もああいう人の成長を傍でより遠くから見ていたい人間ので。