@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』

 

『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』(The Story of My Wife)

ハンガリーの作家ミラン・フストの小説を原作に、出会ってすぐに結婚した男女の官能的で切ない愛の行方を描き出す。1920年マルタ共和国のとあるカフェ。船長のヤコブは友人と、店に最初に入ってきた女性と結婚するという賭けをする。現れたのはリジーという美しい女性で、ヤコブは初対面の彼女に結婚を申し込む。そして週末、ヤコブとリジーは2人きりで結婚の儀式を行う。幸せな時間を過ごすヤコブとリジーだったが、リジーの友人デダンが現れると、ヤコブは2人の仲を疑って嫉妬するようになり……。

 

 3時間近くの長丁場だが全く飽きない。音楽とか少しぼかした映像の連続とか船での生活のシーンとか非常に木目細かいシーンの連続である。この辺はかなり原作に忠実に作ってあるのではないかと思う。

 

 原作と映画との差は全く知らないが、なんとなく伝わるのは原作にあるであろうミソジニー的な部分や男性の一方的な女性への性的なまなざしはおそらくカットされているのではないかと思う。調べててみて納得、本作はイルディコー・エニェディが監督・脚本を手がけたらしい。

 

 他の映画ではよくフルヌードになることが多いレア・セドゥが本作ではヌードは少ない。背中が全面ヌードはあったが、極力裸を見せないようにしていた(大変良い)。これは意図的だと思う。逆に男性がヌードになっていることが多かった。

 

 まあこの映画の原作はかなり男性に都合の良い話だ。『アイズワイドシャット』に話は似ていて、男性の一方的な疑いのせいで夫婦二人の関係が破綻する話だ。しかし女性の描き方は上手だ。(というか原作通りだと思うが、リジーは一体何者だったのか?彼女は本当に存在したのか?ヤコブの妄想ではないか?と疑いたくなるレベルだ) 『アイズワイドシャット』では夫婦の関係は破綻しないが、本作は破綻する。まあ命があるだけで幸運だと思いな、ヤコブは。

 

 男性優位の話だが、そんなダメな男を(言い換えれば普通の男でもある)、冷酷な目線で見たりする女性の視線や呆れた態度など、逆に女性の男性への冷酷で冷静なまなざし映画でもある。(というかこの時代の女性が一人で生きていくのはハードで、リジーの態度は生きていくための手段でもある) と色々この映画の良いところをたくさん話せるが、やはり男性の一方的な女性へのまなざしと欲映画なので、男性中心的な映画が好きじゃない人は好きじゃないと思う。(私もどっちかというとそっちなので) 

 

 この映画の重要なモチーフにタバコがある。ヤコブもリジーも口になんか入れてないと落ち着かないのか、それとも本音を行ってしまうのを防ぐためなのか。本音を言わないのは関係を維持するためだろう。というかこの夫婦は秘密が多いのだけど、逆に言えばその秘密が二人の関係を支えていたのだが、タバコがなくなり本音を言ってしまえばそれはこの二人の関係が終わるときだろう。それを何となくヤコブもリジーも分かっていたのではないか。