@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『テーラー 人生の仕立て屋』

中年男性による恋愛を必要としない人生始める系映画

 

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テーラー 人生の仕立て屋』(Tallor)

 

アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた寡黙なニコス。そんな中、不況がギリシャを襲い、店は銀行に差し押さえられ、ショックで父は倒れてしまう。途方に暮れたニコスは、手作り屋台で、移動式の仕立て屋を始めることを思いつく。しかし、道端で高級スーツはまったく売れなかった。そんなある日、ウェディングドレスの注文がニコスに飛び込んでくる。紳士服一筋だったニコスは、隣人の母子に手伝ってもらい、女性服の仕立てを学びながら、人生初めてのウェディングドレス作りに挑むことになるが……。

 

 本作はギリシャが舞台でなおかつ、ソニア・リザ・ケンターマンによる女性監督による中年男性が主演の映画という珍しい作品だと思う。

 

 この作品の面白い点は主人公のニコスが自らの職業である仕立て屋の世界に閉じ込められているという点で、父親の病気と仕立て屋の倒産危機によって、ニコスが初めて外の世界へ踏み出すという設定で、ここだけ見るとめちゃくちゃディズニープリンセスみたいだ。というか最近男性が主演の映画でこういう一つの世界に閉じ込められていて、恋愛を通して外の世界を知る的な昔のディズニープリンセスみたいな設定の映画増えている気がする。

 

 ニコスがその世界に出て女性たちによってドレスを作れるのかというきっかけを与えられたり、隣人であるオルガ等に助けてもらいながら人生が彩り豊かになっていく様を、本作に登場するドレスの色の豊かさが比喩的な表現になっているのも面白い。主人公は男性だが、登場する女性たちはみんな豊かな感じだ。

 

 また成り行きでニコスとオルガがセックスするのだが(?!)、それがオルガの夫にばれてあげくに店が壊されるのだが、それがきっかけで本格的に仕立て屋を廃業し、移動型ドレスメイカーになりオルガとの関係も破綻するが、これは人生を始めるのに恋愛は必要ないということでる。こういう中年男性が主演人生系の映画だとおかず的な要素で恋愛が付いたりする映画が多いので、そういうの踏まえて本作を観ると、本作が異質なことがわかる。