@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『プアン 友だちと呼ばせて』

 

『プアン 友だちと呼ばせて』(One For The Road)

 

ニューヨークでバーを経営するタイ出身のボスは、バンコクで暮らす友人ウードから数年ぶりに電話を受ける。ウードは白血病で余命宣告を受けており、ボスに最後の願いを聞いて欲しいと話す。バンコクへ駆けつけたボスが頼まれたのは、ウードが元恋人たちを訪ねる旅の運転手だった。カーステレオから流れる思い出の曲が、かつて2人が親友だった頃の記憶をよみがえらせていく。そして旅が終わりに近づいた時、ウードはボスにある秘密を打ち明ける。

 

 『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の監督だけあって映像と音楽は大変スタイリッシュである。(音楽よく許可取れたな) 白血病で死を予見したウードが感謝と謝罪の旅に出かけるのを、ニューヨーク時代の親友であるボスが手伝う話である。ウード自身が父を亡くした時に死に目に会えなかった後悔から今回の旅に至ったという経緯がある。こういう死が近いから旅に出るというストーリーはよくある話だが、それでも最後まで飽きずに観えるのがこの監督の凄いところだ。

 

 まずウードの元カノ3人に会いに行くのだけど、ある人は泣いたりある人は怒ったりある人は感じよく接しながらもあからさまに拒絶したりする態度をみせる。まあ色んな反応を見せるのだが、そもそもウードの感謝と謝罪の旅っていうのが自分勝手なわけなのだが、この3人の反応は普通の反応だと思う。というかこの女性たちの反応は女性として生きるある種の自己防衛だと思う。だって元カレが会いに来るって正直恐怖だと思うし最悪ストーカーだと思うよ。(ウードは自分が死が近いことを会う女性には言わないで会おうとするのでより恐怖というか、というかちゃんと理由を言わないと女性たちは怖いよ) もっと意地悪いことを言うと、この旅自体が男性の特権を振りかざしたようなものだ。女性は元カレに会いに行くなんてリスクがでかくてできないよ。

 

 と言ってもこの映画の女性たちは前座みたいなものだ。後半(B面)に入るとウードとボスがなぜ友達になったのかの話になるからだ。一人の女性を通して男性たちが繋がるという話で映画としてもこの主題に重きを置いている。非常に村上春樹のような話である。というか最初からこの主題だけで話を進めていけばよかったのでは?

 

 あとウードもボスも女性たちしての距離感がおかしんだけど、これってアジア系男子あるあるなのかな?まあ親の不在と経済力がいかに人生設計に影響を与えるかのメッセージも含んでいるのだが、これは『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』でも描かれていたので、この監督のこだわりかな?

 

 まあそれでも全体的に一般的に非常に良い映画に入る部類で大衆受けすると思う。映画のラストも自暴自棄だったウードが最後は自尊心を取り戻し、化学治療を受けることで生を選択する話にしていたので、そこは大変良かった。