@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』

 

『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』

刑務所の囚人たちに演技を教えることになった俳優の奮闘を描いたフランス発のヒューマンドラマ。スウェーデンの俳優ヤン・ジョンソンの実体験をもとに、実在の刑務所で撮影を敢行した。売れない俳優エチエンヌは、刑務所の囚人たちを対象とした演技ワークショップの講師を依頼される。サミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」を演目に選んだ彼は、一癖も二癖もある囚人たちに演技を指導していく。エチエンヌの情熱はいつしか囚人たちや刑務所管理者の心を動かし、実現は困難とされていた刑務所外での公演にこぎつける。彼らの舞台は予想以上の好評を呼んで再演を重ねることになり、ついには大劇場パリ・オデオン座から最終公演のオファーが届く。

 

 まず壮大に邦題がダサい。まあわかりやすいけどさ。映画はスウェーデンで実際に起きたことを元に物語の舞台をフランスにしている。フランス映画らしいギャグは笑えないんだけど、それ以外は良かった。

 

 服役者たちもみんな演劇や物語が元々好きで演じるのも大好きな人たちという設定で、そこはとても良かった。嫌いなことがだんだん好きになるみたいな展開があまり好きじゃないので、この映画に出てくる人たちはみんな物語や演劇が好きな人なので映画に没入しやすかった。

 

 映画のラストはみんな舞台をボイコットして逃げるんだけど、ここはあくまで個人の幸福と尊厳を追及するフランスらしいラストだと思うし、そもそも映画が進んでいくうちに主人公のエチエンヌのエゴに服役者たちが利用されているようにも見えたので、この"逃走"、"待つことの拒否"という選択をしたのは良いと思う。(やはり映画としては演劇どうこうより、観客がいるし、何より個人の尊厳についてのメッセージを強調したかったのだろう) この映画のモチーフである"待つ"ことを拒否し、"逃走"を選ぶことで服役者たちは受動ではなく能動として自由になれるのだし。それがやはり大事なことだ。(もちろん服役中の逃走は犯罪だ)

 

 個人的に一つ気に入らない点が。主人公のエチエンヌだが映画を通してとにかく稚拙だし自分のエゴを通すことに終始していた。それは映画の途中で娘に指摘されるも(この映画は女性たちの出番はかなり少ないがみんな賢人だ)、最後までその稚拙性が直ることはなかった。とりわけラストの舞台上でのスピーチで拍手喝采し娘からも見直されるみたいなシーンは脚色でも入れるべきではなかったと思う。