@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『PLAN75』

 

『PLAN75』

 

これが長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子が主演。磯村勇斗、たかお鷹、河合優実らが共演する。(映画com.より)

 

 『マイスモールランド』同様に日本の問題(本作では少子高齢化に伴う社会不安と政治の愚策による弱者への搾取)を描いた作品だ。また2作品とも女性の監督であるというのは特筆すべきだろう。師である是枝監督よりよっぽど社会と向きあっている。

 

 この映画のすごくリアルなところは高齢者を搾取する=若者や外国人労働者を搾取するということを明確に提示し、それでも対立ではなく一緒に手を取り合い連帯することで問題を少しでも解決できること示唆している点だろう。特に若者がただ仕事をしているだけでなのだが、その仕事が社会的弱者や高齢者を搾取し死に追いやっている仕事だいうこと。そしてその若者たち自身が高齢者と直接交流することで自身の仕事に疑問を持ち、倫理観を取り戻すことが大切であることを描いていた。これはある種の「悪の凡庸さ」への一つのアンサーだろう。