良い映画だけど、個人的に気になる点が多い...
『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』
(英題:The Specials)
日本でも多くの人に知られている『最強のふたり』監督が作った新作。無許可、赤字経営などから閉鎖の危機に迫られている施設で障害を抱えた子どもたちや青少年・少女を預かる支援員たちを描いた事実をもとにした作品である。
まず邦題が長すぎてダメだと思うし、感動系みたいなノリの宣伝をしている映画であるが、実際はかなりシリアスな映画である。まず日本広報はちゃんと映画を観たのか?と思う。
私は嫌いな『最強のふたり』の監督たちが作ったので若干脚色が行き過ぎていると感じる部分が多々あるが、作品のメッセージや怒りはすごく理解できるし、特にずっと制度や社会の枠組みから外されていた子どもたちを預かっていた施設を、今更公的な施設として運営できるように法律が変わったからといって監査が入るのは確かに現場を馬鹿にしていると思うし、子どもたちの人生を全く考えていない政府だと思う。
しかし私は個人的にこの支援員たちもどうなの?と思う点が多い。支援員としての考えや行動は理解できるし、むしろ素晴らしいと思う。しかし施設として子どもたちの人生や命を預かっているのであれば、やはり公的な施設として政府に申請するべきだと思う。主人公二人もあまりその辺は考えてなさそうであるが、公的な施設として運営できれば、例えば利用者が迷子になってもすぐに警察と一緒に捜索できるし、そっちのほうが絶対に良いのだ。でもこの映画の支援員たちはそれをダメなものだと考えているが、いやどう考えても大事なのは利用者の命だろうと思う。この点で私はこの映画を評価できない。
また赤字経営の施設も何とか運営できたのは事務のあの女性のおかげだ(名前は忘れました)、しかしこの映画では全く彼女は評価されてない。また主人公二人も支援員としては素晴らしいと思うが、上司としては嫌な奴だと思う。私は絶対に一緒に働きたくないタイプだ。特にヴァンサン・カッセル演じるブリュノは利用者の家族を口説くし、あれは最低だと思う。