1961年に実際に起こったゴヤの名画盗難事件の知られざる真相を描いたドラマ。2021年9月に亡くなった「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督がメガホンを取り、本作が長編劇映画の遺作となった。1961年、世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この事件の犯人はごく普通のタクシー運転手である60歳のケンプトン･バントン。長年連れ添った妻とやさしい息子と小さなアパートで年金暮らしをするケンプトンは、テレビで孤独を紛らしている高齢者たちの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送（BBC）の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもうひとつのある真相が隠されていた。
本作の主人公のような犯人が現れた時に必ずと言っていいほど世論が味方になってくれるのが凄いというか(本作では裁判での聴衆がそれにあたる)、『私はダニエルブレイク』のダニエルが役所の壁に落書きしたときにもそのダニエルを咎めるどころかみんな応援した人々がいるように、海外だとこういう人々を支えようという人たちが圧倒的に多いのが凄く救いだ。こういうの日本に住んでると本当に羨ましい...日本人は権力や偉い人に従うのがベースになっているので...
