まず『デイアフタートゥモロー』のような映画かと思ったら、全く違った。環境テロの話だった。私がこの映画ですごいなと思ったのは、女性の描き方とキャスティングの多様性である。まず多様性について、宇宙船内で働いている人々は多人種だし、何よりアメリカ大統領役のアンディ・ガルシアはキューバ系だ。最後にいいところを持って行くのもメキシコ人の彼だ。そして女性たちは実にいきいきと描かれている。大統領のSPである女性(大統領を死ぬ気で守り彼女の恋人に向かって「彼女と結婚しろ」とまで言わせる)、宇宙船で働く女性(最後に大きな決断をする)、ハッカーの女性(主人公の兄弟二人に大きなヒントを与えるトリックスター)。主人公にジェラルド・バトラーを置いているが、どう考えても女性が主人公の映画だ。このように主演を男にして脇役にいい感じの女性たちを配役する映画は珍しい。(最近だと『ブラックパンサー』がそうだった)しかし、主人公と娘の距離感はすこし気になった。いくら片親で苦労しているからと言って、あんな大人びているのは確実に父親がそうさせており、『ギフテッド』同様に娘との距離感が良くない。またこの映画はなぜかプロモーションに力を入れており、日本でスマッシュヒットしているみたいなので、この映画から多くのことを学んだ人もきっとおおいはずだ。そしてそのプロモーションの中でこの映画を男の映画だと紹介している輩がいたが、確実に見失っていると思う。そんな輩は生粋のミソジニストか映画の途中で寝たかのどっちかだろう。