@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ハッチング 孵化』

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『ハッチング 孵化』(Pahanhautoja)

 

北欧フィンランドで家族と暮らす12歳の少女ティンヤ。完璧で幸せな家族の動画を世界へ発信することに夢中な母親を喜ばすため、すべてを我慢し自分を抑えるようになった彼女は、体操の大会優勝を目指す日々を送っていた。ある夜、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。ティンヤが家族には内緒で、自分のベッドで温め続けた卵は、やがて大きくなり、遂には孵化する。卵から生まれた「それ」は、幸福に見える家族の仮面を剥ぎ取っていく。

 

 母親との関係やら鳥がモチーフだったり父親が家の模型を作っていたり、かなりアリ・アスター監督の『ヘレディタリー 継承』に似ていた。でも鳥が子どもを育てる課程をホラーにした作品なら『ビバリウム』の方が類似性は大きいかもしれない。ホラーというよりモンスター系映画という印象の方が強かった。それでもモチーフにしているものが多く、最後はしっかりと伏線(母親関連のことで)も回収されるので非常に分かりやすい映画で、観た後はなんかスッキリした気分になった(笑)

 

 それでも父親など登場人物の描き方が薄かったり、純粋に母親の欠けている愛を自ら他の対象を見つけて愛情をかけて空虚を埋める的なテーマに古臭い印象を受けるし、映画の途中あまりに周り(特に母親)が主人公のティンヤを追い詰めるので映画というのを忘れて腹がたったりもしたが、初監督作品でここまで凄いことができれば普通に凄い監督になると思う。しかもハンナ・ベルイホルムという女性監督だ。

 

 

『潜水艦クルスクの生存者たち』

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『潜水艦クルスクの生存者たち』(Krsk)

 

乗艦員118名を乗せ、軍事演習のため出航した原子力潜水艦クルスク艦内で魚雷が突然暴発した。司令官ミハイルは、爆発が起きた区画の封鎖を指示し、部下と安全な艦尾へ退避を始めるが、艦体は北極海の海底まで沈没。生存者わずか23名という大惨事となってしまう。海中の異変を察知した英国の海軍准将デイビッドは、ロシア政府へ救援の意志を伝えるが、沈没事故の原因は他国船との衝突にあると主張するロシア政府は軍事機密であるクルスクには近寄らせようとしなかった。乗組員の生命よりも国家の威信を優先するロシア政府の態度に、ターニャたち乗組員の家族たちは怒りをあらわに抗議する。

 

 『アナザーラウンド』より前に製作されたトマス・ビンダーベア監督作品である。ロシア政府の軍事機密を守ろうとするかたくな態度vs生存者たちを守ろうとする英国でくしくもすごく今の現状を表した作品である。まあ出てくるロシア人は結構ステレオタイプでしかも演じている役者はおそらくロシア人でない人が多い...あと軍事機密を守ろうとしているのは正直ロシアだけでなく、英国も実際そうでしょう。ロシアをスケープゴードにして自分たちの悪いところを隠そうとしていてあまり観ていていい気分にはならない。(もちろん私はロシアのウクライナ侵略を許していないし非難されるべき行為だ)

 

あと、たぶんこの監督のクセなんだろうけど、『アナザーラウンド』でかなり都合よい女性観が垣間見えたんだけど、本作もレア・セドゥ演じる妻はかなり薄い描写だった気がした...

 

 

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

 

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『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore)

 

前作『黒い魔法使いの誕生』の出来事から数年後の1930年代、ブラジルのリオデジャネイロとドイツのベルリン、そしてイギリスアメリカを舞台に、魔法界が第二次世界大戦に参戦するまでの物語。ゲラート・グリンデルバルドの勢力が急速に拡大する中、アルバス・ダンブルドアはニュート・スキャマンダーとその仲間たちに、グリンデルバルドの軍隊との衝突につながる任務を託し、ダンブルドアは迫り来る戦争をいつまで傍観するのかを熟考することになる。

 

 まず前作から大きく変わったところは、グリンデルバルドを演じる役者がジョニー・デップからマッツ・ミケルセンに変わった(まあこれは仕方ない)。また最近であるが、クリーデンスを演じるエズラ・ミラーが逮捕されたり(本作の内容を観る限りでは次回は出演しないかも)、脚本家のJ.K ローリング氏による度重なるトランス女性へのヘイト発言など、本作以外でのところでネガティブな情報が続いたシリーズの新作でもある。それでも初日は結構お客さんが映画館にいて改めて本シリーズの人気を再確認した。私個人でもこのシリーズは好きだし、新作が公開されればもちろん観に行くが、やはりローリング氏のヘイト発言は容認できない。

 

 全体としては大変面白い。もちろん脚本の穴があるし、登場人物がやたら登場するのに(それに全員魅力的だ)、深く掘り下げられていない気がするし(まあハリーポッターシリーズもそうであったのでここはあまり気にしていない)、物語の展開も結構雑である。

 

 相変わらずニフラー(ドジっ子キャラとして最強だと思う)とボウトラックル(スキャマンダー先生のこと好きすきだろ)は賢くて可愛いし、笑えるシーンも多い。戦闘シーンもカッコイイ。特にブータンでの複数のトランクを使って敵をかく乱させる作戦は良かった。ここで流れる音楽といい、出てくる物と言いハリーポッターシリーズのファンは涙である。

 

 またダンブルドアとグリンデルバルドの戦闘シーンはセクシー過ぎて逆の意味で危険すぎると思うが、本作でしっかりと二人が過去に恋愛関係であったことは明示されているのも良かった。ラストのダンブルドアに向かってグリンデルバルドが言い放つ「私以外誰がお前を愛すんだ」的な発言は失恋した相手に言われて一番悲しいセリフだ。

 

 前作ではポピュリズムに陥る政治についての話だったが、本作では選挙と投票についての話で、相変わらず世評と話を合わせるのが上手だなと思った。何年後になるか分からないし、本シリーズもどうなっていくか分からないが、次作が非常に楽しみだ。

 

『アネット』

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『アネット』

 ごめんね、私はスパークスにもレオス・カラックス監督にも何の思いれもないので、正直に言うけどクソつまんなかったよ。退屈だったし。それは別にアンがヘンリーに殺されたからじゃないの、普通につまんなかったの。まあこれはおそらく身勝手に男に殺された女性の悲劇とそれが男に付きまとう呪いを喜劇に描いた作品なのだろうけど。それでも純粋につまんなかったの。逆にミュージカルなのに、ここまで心が動かないのも凄いけど。映画のラストでこの映画が気に入ったら、友達や見知らぬ人に勧めてとか言ってみたけど、いやだよ、誰が勧めるかよって感じ。あ、でも、アダム・ドライバーマリオン・コティヤールが好きな人には勧めるかも。

『モービウス』

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『モービウス』

 

天才医師のマイケル・モービウスは、幼いころから血液の難病を患っている。同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロのためにも、一日も早く治療法を確立したいマイケルは、コウモリの血清を投与するという危険な治療法を自らの肉体を実験台にして試す。その結果、マイケルの肉体は激変し、超人的なスピードや飛行能力、周囲の状況を察知するレーダー能力が身につくが、代償として血に対する渇望に苦しむこととなる。自らをコントロールするために人工血液を飲み、薄れゆく人間としての意識を保つマイケル。そんな彼に対し、マイロも生きるためにその血清を投与してほしいという。同じころ、ニューヨークの街では次々と全身の血が抜かれるという殺人事件が頻発する。

 

 いや、久しぶりに不出来なヒーロー映画を観た...というか私が昔よく観たヒーロー映画ってこんな感じだったかも。どうりで懐かしい感じがしたと思った。最近のヒーロー映画がよく出来すぎなんだよね。むしろヒーロー映画のオタク回帰寄り感があったので良しとします。それにコウモリの能力をいかした戦闘シーンはちゃんとかっこよかったし。

 

 でも直球でダメだと思ったが、モービウスの能力覚醒のために女性が死ぬのはダサいと思う。久しぶりにこういう映画で女性が冷蔵庫に入ったよね...(まあ厳密には死んでなさそうですけど) あと最後はスパイダーマン・シリーズのマルチユニバースであることも提示されるんですけど、もうマルチユニバース系はお腹いっぱいです。もうバルチャーとかいいです、いらないです。それよりあの世界でピーター・パーカー君は元気ですか?

 

『シャドウ・イン・クラウド』

 

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『シャドウ・イン・クラウド』(Shadow in the Cloud)

 

1943年。ニュージーランドからサモアへ最高機密を運ぶ密命を受けた連合国空軍の女性大尉モード・ギャレットは、B-17爆撃機フールズ・エランド号に乗って空へ飛び立つ。モードは男性乗組員たちから心無い言葉を浴びせられながらも、ひたむきに任務を遂行しようとする。やがて彼女は高度2500メートルの上空で、自機の右翼にまとわりつく謎の生物を目撃する。次から次へと想像を絶する試練に見舞われる中、大切な荷物を守りながら決死の戦いを繰り広げるモードだったが……。

 

 クロエ・グレース・モレッツ素手グレムリンと戦うクールな映画。よくこんなアイデア浮かんだよ。この映画を作った時点で勝利は確実。そしてこんなぶっ飛んだ映画を作ったのがロザンヌ・リャンというアジア系女性監督が作ったというのも最高。ラストに流れるケイト・ブッシュも最高。

 

 

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『アンビュランス』

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『アンビュランス』(Ambulance)

 

アフガニスタンからの帰還兵ウィルは、出産直後の妻が病に侵され、その治療には莫大な費用がかかるが保険金も降りず、役所に問い合わせてもたらい回しにされるだけだった。なんとかして妻の治療費を工面しようと、血のつながらない兄のダニーに助けを求めるウィル。犯罪に手を染めるダニーが提案したのは、3200万円ドル(約36億円)もの大金を強奪する銀行強盗だった。計画通りならば、誰も傷つけることなく大金だけを手にするはずだったが、狂いが生じて2人は警察に追われる事態に。やむを得ず逃走用に救急車に乗り込んだ2人だったが、その救急車はウィルに撃たれて瀕死となった警官を乗せていた。乗り合わせた救命士キャムも巻き込み、ダニーとウィルはロサンゼルス中を猛スピードで爆走することになる。

 

 ブラックライブズマーターやコロナ禍以降本当のヒーローって誰だろうと考えたら、やはり人の命を救う医療従事者こそ本当のヒーローだろう。マイケル・ベイもそう思ったにちがいない。そしてこの映画を作ったのだと思う。まあ確かに黒人男性のウィルが最終的に犯人にされるのを回避するシーンは少しやりすぎな気もするが、あれは白人警官がウィルを救ってあげることに意味があると監督は思ったんだろうな。

 

 あとは長尺の映画なのに、ずっと息もつかせない展開はさすがだし、時々見られるユーモアや映画ギャグも面白かった。救命救急士のキャムのカッコよさにやられる人は多いと思う。