『顔たちところどころ』(Faces Places)
フランスの映画監督であるアニエス・ヴァルダと写真家でアーティストのJRがフランスの北南の村を旅し、そこにいる人々の顔を写真にして顔に張り付ける。
主にフランスの農村部が舞台になるため、パリなどの都心は出てこない。そのためか出てくる人々の大半は白人が多い。そこだけは指摘しておくが、それでも大変面白く素晴らしいドキュメンタリー映画だと思う。
秀逸だなと思うのが、二人が牧場を訪ねた時、ヤギたちの角が焼かれてるのに疑問を呈しており、牧場主もそれを素直に受け入れていた、まさに芸術の影響力を感じた。そもそも街の壁に写真を張り付けても文句が出ないところがいいなと思うし、これくらい芸術に寛容でいたい。
そして何より一番良かったのが、二人が湾岸労働者を訪ねた時、そこで働く男たち3人に奥さんのことを尋ね、アニエスが3人に実際に会いに行く、そして3人も立派な労働者であることが判明する。一人は女性唯一の女性ドライバーであることが分かり、アニエスは感心する。そして彼女たちこそ湾岸の顔だと、コンテナに彼女たちの姿をプリントするところが本当に良かった。観てよかった。