@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『パーティで女の子に話しかけるには』

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パーティで女の子に話しかけるには』(How to Talk to Girls at Parties) [イギリス・アメリカ]

 

 遠い惑星からやって来た美少女と内気なパンク少年の恋の逃避行を描いた青春音楽ラブストーリー。1977年、ロンドン郊外。大好きなパンクロックだけを救いに生きる冴えない少年エンは、偶然もぐり込んだパーティで、不思議な魅力を持つ美少女ザンと出会う。エンは好きな音楽やファッションの話に共感してくれるザンと一瞬で恋に落ちるが、2人に許された時間は48時間だけだった。2人は大人たちが決めたルールに反旗を翻すべく、大胆な逃避行に出る。

 監督はジョン・キャメロン・ミッチェル。出演はエル・ファニング、アレックス・シャープ、ルース・ウィルソン、ニコール・キッドマンほか。

 

 宇宙人がパンク少年に出会い、エルファニングかパンクを歌う、それ自体は好き。でも途中から変な方向にいくし、コロニーのとこは説明不足だし全体的に惜しい。いい映画なのに…エルファニング演じるザン(宇宙人)が所属する黄色の第4コロニーは個人の尊重と自由を探求するので、古い慣習に縛られてる宇宙人たちの生活に嫌気がさして地球に残ろうとする行動は納得だし、パンク少年のエンと意気投合するのも納得。しかしザンは宇宙人なのに受動的すぎる。若い二人がパンクと個人の尊重と自由を通して出会い、新しい価値観を求めていくことがてきるのに、それがザンの妊娠という古典的な展開で打ち砕かれる。結果ザンは宇宙に帰って出産することを選ぶんだけど、それは重大決心であるはずなのに、その心の変化の描き方が正直雑だった。古い慣習に回帰してる。

 

 しかし冷静に考えると…エンは母親の再婚相手が気に入らないが最終的には受け入れ、ザンは古い慣習に嫌気がさしたが最終的にはそれを受け入れることを選んだ。二人の若者がどうしようもない現実を前に自由と抑圧と反抗を体験して成長する話でもある。Happy&Sad映画なのかもしれない。それを踏まえれば、くすぶりながら界隈のパンクプロデュースをしているボディ・シーア(ニコール・キッドマン)の役柄は納得なのかもしれない。彼女もまたどうしようもない現実と夢を体験した人だ。しかし「12回も中絶したんだよ」という重い台詞を吐かせてたのなら、もう少し彼女の人生に焦点を与えてもいいはずだ。ここにこの映画の女性描写の問題を見た気がする。しかしザンとボディ・シーアの楽屋での会話は良かった。この二人が話のメインになりお互いが影響を与えあうというストーリーの方がよかったのではないかな?「12回中絶したんだよ」というボディ・シーアはなんだかんだ言ってはみ出しものたちのボスのような存在だし、宇宙に帰ったザンは自分の子供たちには地球で学ぶように促したラストシーンだった。エンの両親のエピソードいい、親とはどういういう存在かを問う作品でもあると思う。

 

 そして雑な映画だがグッとくるセリフもたくさんある。エンが宇宙人たちに放つ「メチャクチャしても俺たちは生きてる。食べて、クソして、踊って、恋をする。親がぶち壊したものも直す。」という台詞が心に響く。それでも私は自由なメッセージを放つパンク映画が好きだな。

 

※2023年2月に編集・加筆