@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『デスパレート・ラン』

 

『デスパレート・ラン』(The Desperate Hour) [2021年アメリカ]

息子の通う高校で起こった事件を、遠く離れた森の中からスマホ1台で解決しようと奮闘する母親の姿を描いたシチュエーションスリラー。夫に先立たれたエイミーは、癒えぬ寂しさを抱えながらも平穏な生活を取り戻そうと懸命に働いていた。ある朝、いつものように子どもたちを学校へと送り出し、ランニングに出かけたエイミーだったが、遠く離れた森の中で、息子が通う高校で立てこもり事件が発生したことを知る。町は混乱に陥り、助けも移動手段もない中、エイミーは1台のスマホを頼りに、愛する息子を救出すべく動き出す。
監督はフィリップ・ノイス。出演はナオミ・ワッツ(エイミー)、コルトン・ゴボ(ノア)ほか。

 

 単なる『search/サーチ』みたいなジャンル映画かと思いきやそれ以外のドラマが非常によく出来ている。シチュエーション・スリラー演出の見せかたは『search/サーチ』の方がうまいし、カメラが全編ブレまくるので観ずらいのがネックである。それでも鬼気迫る演出と演技のおかげで、映画のテーマ性もしっかり伝わってくる。

 

 そのテーマが学校における銃乱射事件であるが、これが非常にリアルである。事件が発生してから、親が子供の安否を確認するまでの心情ややり取りなど非常にリアルを追及している。また映画の上映時間が90分くらいで、これも事件発生から状況の確認までのリアルさを演出できていると思う。

 

 こういう銃乱射事件を扱った作品だと、どうしても親の視点が中心になって物語が進んでいくので(だからこの映画が製作されたのだが)、被害にあった子供の視点が抜けていたり、被害にあっただけで主体性が回復する描写がなかったりすることが多いのだが、本作のラストにエイミーの息子で銃乱射事件に巻き込まれたノアがトラウマを克服しようとする描写がある(ご丁寧にその様子もライブストリーム風だった)。一見ネタのようなジャンル映画だと思っていたら、社会への倫理観に貫かれた素晴らしい作品だった。

 

 ちなみに劇中にエイミーがジョギングしながらPhoebe Bridgersの"I Know The End"を聞くシーンがあるのだが、この曲は現代のディストピア的な場所から旅立つというテーマがある曲だが、本作では銃乱射事件や父親の死という現代社会のショッキングな出来事を乗り越えて前へ進んでいくノアの心象を映し出していたのだろう。

 


www.youtube.com