2005年、カタログに掲載された1枚の絵を見て、NYの美術商がこれはもしやダ・ヴィンチの失われた傑作かもと思い、1175ドルで落札。損傷の激しかったその絵は、大幅な修復作業や専門家たちの玉虫色の鑑定を経て、ダ・ヴィンチの絵としてロンドンのナショナル・ギャラリーで展示され、論議を呼ぶことに。そして2017年、その絵は競売にかけられ、史上最高額の4億千万ドルで某国の皇太子の手に渡るのだが……。
本ドキュメンタリーは一つの作品に本当にダ・ヴィンチ描いたかどうか確証がない絵画にとんでもない値段がついたことに対しての皮肉みたいな視点を持っている。まあ確かに競り落とした人間はおそらく絵画とか芸術とかの未来なんてあまり考えていなさそうで(そりゃ美術館でプロテスト運動が起こるわけだ)、映画にもいかにも中東やらアジアにいるとんでもない何も考えていない金持ちがいるみたいな欧米人の皮肉みたいな視点もある。(これが欧米によるオリエンタリズムかと言えばそうでもなく、ああいう成金はどこにでもいるし、共通してダサい)