『ダークグラス』(Occhiali neri)
イタリア、ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生する。殺人鬼の4人目のターゲットになってしまったコールガールのディアナは、ある夜、執拗に追いかけられた末に、車が衝突する大事故に遭う。一命はとりとめたものの両目の視力を失ってしまったディアナは、同じ事故に巻き込まれて両親を亡くした中国人少年のチンとの間に特別な絆が生まれ、2人は一緒に暮らすことになる。しかし、そんな彼女たちを殺人鬼が付け狙う。
監督はダリオ・ダルジェント。出演はイレニア・パストレッリ(ディアナ)、シンユー・チャン(チン)、アーシア・アルジェント(リータ)ほか。
ダリオ・ダルジェントの10年ぶりの作品だがベテランであることを枷にしないくらい、しっかり悪趣味を貫いているのは素晴らしい。これを観ながら今年公開された『ベネデッタ』を監督したポール・ヴァーボーヴェンのことを思い出した。互いに意識してるのかな。
主人公のディアナはホラー映画のファイナルガール的でもあるが、映画冒頭に早速被害にあうので違うとも言える。ディアナはコールガールだが慈悲深い心の持ち主で親を亡くしたチンの親代わりみたいなものを引き受ける。つまりディアナは娼婦でもあるが聖母でもある。ホラー映画の典型的ヒロインの二つの要素を持った人であるというのは面白い。
かなり展開が強引でかつ肝心のホラーの要素も詰めが甘い気がするが(こういうジャンルの先駆者であるが逆にそれのオルタナ作品を観すぎて本家が薄いイメージになってしまうやつだ)、気軽に観れるし楽しい作品だったと思う。あとイタリアにも盲導犬っているのだなと思った。その割には犬が描写がかなり悪い気もするが。