イタリア・ナポリの港湾地区で生まれ育った貧しい船乗りの青年マーティン・エデンは、上流階級の女性エレナに出会い、彼女の美しさと知性に惹かれるとともに、文学への関心に目覚める。作家を志し、独学で執筆を続けるうちに盟友ラス・ブリッセンデンとも出会い、幾多の挫折と障壁を乗り越えてついに名声と富を手にするマーティンだったが、やがて若き日の希望と情熱は失われていく。
原作の小説ではアメリカが舞台だが、この映画では20世紀初頭のイタリアを舞台にしている。16mmカメラを使うことでその時代感を出すことに見事成功しており、また役者の演技がとても良い。主演のマーティン・エデンを演じたルカ・マリネッリの労働者階級として苦労しながらも、作家として成功し荒れた生活をするようになっていく様を上手に演じている。
いくら作家として成功しても、自分の中にある政治観念は変えないマーティン、とても好きだ。こういう生き方をする人はいつの世も周りから浮くんだよね。でもそういう人が全体主義から脱する生き方を教えてくれるんだ。