@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ボブ・マーリー: ONE LOVE』

 

ボブ・マーリー: ONE LOVE』 (Bob Marley: One Love) [2024年アメリカ]

 

1976年、カリブ海の小国ジャマイカは独立後の混乱から政情が安定せず、2大政党が対立していた。30歳にして国民的アーティストとなったボブ・マーリーは、その人気を利用しようとする政治闘争に巻き込まれ、同年12月3日に暗殺未遂事件に遭う。2日後、マーリーは怪我をおして「スマイル・ジャマイカ・コンサート」に出演した後、身の安全のためロンドンへ逃れる。名盤「エクソダス」の発表やヨーロッパツアーを経て、世界的スターの階段を駆け上がっていくマーリーだったが、その一方で母国ジャマイカの政情はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。監督はレイナルド・マーカス・グリーン。出演はキングズリー・ベン=アディル(ボブ・マーリー)、ラシャーナ・リンチ(リタ)、ジェームズ・ノートンほか。

 

 上映前に丁寧に息子さんがメッセージを出しているように、あらゆる意味で非常にクリーンな、偉大な父(と母)を讃えよ的な映画だ。監督の前作が『ドリームプラン』もどう考えても人間的に問題があるお父さんを英雄的に描いていて、リャード家から支持を取り付けていた監督で、レイナルド・マーカス・グリーンが本作の監督に抜擢されたのは当然と言えば当然だ。本作もそのクリーンな表現でボブ・マーリーの子供たちから絶大な支持を得ている。スキャンダル性もないし、幅広く公開できるし、今まで黒人の物語が白人たちに奪われていたこと、それをふまえて考えるとクリーンな伝記映画を作るレイナルド・マーカス・グリーンはこれから売れっ子になるだろうな。

 

 一番クリーンなのはボブとリタのモテっぷりがマイルドになっているところだけど、なぜそんなにモテることを描きたくないんだろうなと思う一方で、ある種の神聖な父と母を信仰しているようにも見える。映画的にもボブのラスタファリへの運動や信仰を讃える見せかたで、ミュージシャンとして生きて聖職者として死んだある種の聖書のような映画だ。

 

 ボブのラスタファリ運動と比較して、音楽やライブは非常に薄味だ。その辺は完全にボブ・マーリーを演じたキングズリー・ベン=アディルの役者頼りになってしまっている。あの有名な雷のシーンも拍子抜けだ。ラストにダイジェストで紹介された出来事を映画内で観たかったのに、たいへん消化不良な映画だ。