@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『枯れ葉』

 

『枯れ葉』 (Kuolleet lehdet) [2023年フィンランド・ドイツ]


フィンランドの首都ヘルシンキ。理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパは、カラオケバーで出会い、互いの名前も知らないままひかれ合う。しかし不運な偶然と過酷な現実が、2人をささやかな幸福から遠ざけてしまう。監督&脚本はアキ・カウリスマキ。出演はアルマ・ポウスティ(アンサ)、ユッシ・バタネン(ホラッパ)ほか。

 

 監督の復帰作であると同時に過去作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に続く労働者3部作に続く作品である。労働者と日々に焦点を当てていると同時に恋の始まりを描いたれっきとしたメロドラマでもある。ラストは事故にあったホラッパがあのまま目覚めない設定で終わるのかと思いきや、けっこうなハッピーエンドで終わって驚いた。まあアンサとホラッパに不幸は似合わない、幸せになって欲しい。

 

 感情をあまり表に出さないオフビートな感じであるが(演技させないという作家性らしい)、ところどころ笑えるところもたくさんあった。アンサとホラッパが出会って、自分に合わないかもしれないと思いながらもメロドラマみたいなことをしてみようという行動が本当に良かった。こういう恋愛をあまりしなかった人は、ありきたりに映画デートしてみたり、女性は花がすきでしょって勝手に思い込んで花を買っちゃったり、男の人って手料理好きでしょって勝手に思い込んで手作り料理してしまう、自分に合わないことをしてしまいがちである。それをしてしまうのが恋愛なんだよね、そこが凄く面白かった。

 

 またアンサもホラッパも労働に対して非常に夢も情熱も捧げてないところがすごく良かったし、映画冒頭からなんでスマやインターネットが出てこないんだろうとかの疑問がちゃんとその人の生活や経済状況がどうなっているのかを理解させる設定になっていて、細かいところまで気を配って作られている作品であった。