ジェラルド・バトラー史上一番最弱だけど、ちゃんと意味がある
『グリーンランド 地球最後の2日間』(Greenland)
突如現れた彗星による世界崩壊までの48時間を、普通の一家の目線で描いたディザスタームービー。突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突した。さらなる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間に迫る中、政府に選ばれた人々の避難が始まる。建築技師の能力を見込まれたジョン・ギャリティ、そして妻のアリソンと息子のネイサンも避難所を目指して輸送機に駆けつけた。しかし、ネイサンの持病により受け入れを拒否され、家族は離れ離れになってしまう。人々がパニックに陥り、無法地帯と化していく中、生き残る道を探すギャリティ一家が目にしたのは、非常事態下での人間の善と悪だった。
ジェラルド・ハドラーと言えば「強い」役柄が多い。潜航したりするときも、大統領を守る時も、300人の兵士で戦うときもだ。しかし本作のジェラルド・ハドラー演じるジョンはただの建築士でかつ弱い。迫りくる危険にも、ただ逃げるだけで最後の方はもはや運命のようにアメリカを捨ててグリーンランドへ向かう。そして周りの命を助けるんでもなく、むしろ自分たちだけが救われることに対しての違和感はあまり抱いていない。しかしこのコロナ禍で公開されるパニック作品としてなら正当な役柄だと思う。
まずコロナ禍という本当のパニックを経験した我々にはやはりヒーロー映画みたいな作品はより一層響かなくなったし、パニック映画もかなりリアリティが求められてしまう。そのためスーパーパワーや力をあまり駆使しない本作のジェラルド・ハドラーはジェラルド・ハドラー史上最も弱いが最もリアリティのある役柄だったと思う。