@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ビバリウム』

一種の子育て鬱映画だ

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ビバリウム』(Vivarium)

 

1組のカップル(ジェマとトム)が家を購入するために不動産屋を訪れていた。店主のマーティンは2人に最近開発されたばかりの宅地、ヨンダーにある家を購入するよう勧めた。マーティンの案内でヨンダーの9番地にやって来た2人だったが、その不気味さにゾッとさせられた。と言うのも、ヨンダーには住人が1人もおらず、そこにある住宅も全て同じ設計のものだったのである。帰ろうとした2人だったが、マーティンは車を残したまま忽然と姿を消してしまった。やむなく、2人は自力でヨンダーから帰ろうとするも、どうやっても9番地に戻ってきてしまうのだった。

翌日、2人は思いつく限りの手段を使ってヨンダーからの脱出を図ったが、どれも失敗に終わった。怒り狂ったトムはヨンダーに火を放ち、そのまま眠りに就いた。ところが、翌日には全てが元通りに再建されていた。愕然とする2人だったが、その目に謎の箱が飛び込んできた。その箱の中には赤ん坊が入っており、「この子を大人になるまで育て上げたとき、貴方たちは自由の身となります」というメモ書きが付されていた。

その言葉を信じて赤ん坊の世話に励む2人だったが、期待は脆くも裏切られるのだった。

 

 カッコウの托卵という習性を人間に例えるとどうなるのかというモチーフにしたホラー作品である。最終的にトムだけでなく、育てたジェマも子供に殺されるというオチであるが、これってたぶん子育てがいかに夫婦関係に悪い影響を与えるかについての映画だと思う。例えばトムとジェマが子どもを育てるようになってから夫婦関係が薄くなり会話やセックスが少なくなる。そしてジェマは子育てに夢中になり人生を捧げ、トムは穴をひたすら掘るという仕事に夢中になる。しかし子供と言うのは母親のいうとおりには育たない。これはおそらく60年代のアメリカの郊外住宅文化とそれに伴う家族の変化を風刺しているのではないかと思う。

 

 最後に意地悪なツッコミをするが、トムとジェマは二人ともスマホを持っておらず外部と連絡を取ろうとしないんだけど、今どきあの若いカップルがスマホ持ってないって観客は不審に思うと思うんのだが、この監督はそういうところは興味ないらしい。