問題は人々が信仰を失っている事ではなく、教会が腐敗していることである
『聖なる犯罪者』(Boze Cialo)
第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド発の人間ドラマ。少年院に服役中のダニエルは、前科者は聖職に就けないと知りながらも神父になることを夢見ていた。仮釈放され田舎の製材所で働き始めた彼は、ふと立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされ、司祭の代わりを命じられる。村人たちは司祭らしからぬダニエルに戸惑うが、徐々に彼を信頼するようになっていく。数年前にこの土地で起きた凄惨な事故を知ったダニエルは、村人たちの心の傷を癒やそうと模索する。しかしダニエルの過去を知る男の出現により、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
ダニエルは神父になりたいが、酒もドラッグも嗜み性行為も積極的にするが、それに対して禁欲しようとするのではなく、禁欲について葛藤する姿を教会で信者たちに話すことである種の信仰を人々から得ており、新しい信仰の形を提示しており、どちらかというと限りなくプロテスタンティズムを感じる。
しかしダニエルがする宗教改革には教会は厳しい。信仰深いダニエルから、教会組織が信仰をとり上げてしまうのだ。これは若者から夢や希望をとり上げてしまう、現代社会を皮肉っているが、それは信仰の世界も同じらしい。随分教会組織は腐敗している。